「ラッコ鍋」に「樺太島大サーカス」……映画『ゴールデンカムイ』続編で見てみたいシーンは?

2024年1月19日に公開された映画『ゴールデンカムイ』。その勢いは公開25日間でも衰えを見せず、観客動員数142万人、興行収入20.8億円を突破した。同作品の監督・久保茂昭をはじめ制作陣にも原作ファンが揃っており、強い作品愛とこだわりで制作された本映画は上記の通り大好評。今年の秋には、WOWOWで続編が放送されることも決定した。

■「原作を映像で忠実に再現する」ためのこだわり

実写化が発表された当初は不安の声も多数あったが、蓋を開けてみれば大絶賛の声が上がっている同作。原作ファンも納得する作品にするためには、多くの手間がかかっている。撮影期間やコストの問題から本州で撮影するという話もあったが、植生など北海道独特の景観を再現するために撮影はほとんど北海道でおこなわれた。

また衣装、小道具はアイヌにルーツを持つ伝統工芸作家が制作しており、コタン(アイヌの集落)やスタジオセットも監修のチェックが入っている。その出来に原作者の野田サトルも「原作ファンの方たちも実写を愛せるはずだと信じています」とコメントしていた。

映画の再現度の高さについて、原作ファンからは「原作絵と並べて見たいくらいに再現度が高い」「あのキャラクターが確かに“いた”。そのままだった」と大絶賛を受けている。今回映画として制作されたのは原作ストーリーの最序盤のみ。活躍シーンが披露出来ていないキャラや登場していない主要なキャラも大勢いるため、続編に対する期待も大きい。

■原作ファンも期待する、続編で見てみたいシーンは?

WOWOWでのドラマ化ののちは、さらなる映画版も構想されているそうで、ネット上では早くもファン各々の映像化を希望するシーンが数多くあがっている。

男性登場人物のほとんどが筋肉モリモリである『ゴールデンカムイ』の中でも、特に「筋肉の密度が濃い」と人気のエピソードとして、通称「ラッコ鍋」がある。杉元佐一たち成人男性5人が、漁師に貰ったラッコの肉を鍋にして食べるというエピソードだ。

これだけを聞くと微笑ましいグルメ回のようにも聞こえるが、実はラッコの煮える臭いは欲情をひどく刺激すると言われている。そんなことはつゆも知らない杉元たちは、ラッコ鍋を囲み、訳のわからない欲情に苛まれた結果、発散のために褌一丁で相撲を取るという作中屈指の迷エピソードだ。

有名な「このマタギ…… すけべ過ぎる!!」という迷台詞を生み出したのもこの回。気合いを入れて身体作りをした俳優陣の真価が発揮できるのではないだろうか。

ギャグ満載の「樺太大サーカス」にも再現希望の声が上がっている。杉元は、自分のことを死んだと思っているアシリパ(※リは小文字)に己の存在を伝えるため、サーカスに出演し注目を集めることを思いつく。畳み掛けるような大量のギャグが魅力のこのエピソードだが、特に読者を困惑させたのは少女団として可愛らしい少女に紛れ踊る谷垣源次郎の存在だろう。

要領の悪い谷垣は、少女団の一員としてダンスの練習に励むも上手くいかず、コーチのフミエに厳しく叱責される。髭面マッチョが「俺は少女団のお荷物です…ッ」と涙を溢すのは非常に迫力がある。そして、少女団の仲間に支えられ初舞台を成功させた谷垣は、踊り子として一歩成長する。まるで少女漫画の主人公のような美しい成長物語だ。成長したのが胸毛たっぷりの成人男性でなければ――。

一方で、尺や大人の事情で省かれてしまうだろうエピソードについても話題になっていた。特に、動物好きが高じてヒグマと交尾しようとする変態・姉畑支遁に焦点を当てた「支遁動物記編」が最有力候補に挙がっている。

癖になる世界観とキャラクターで、完結してなお人気の衰えない『ゴールデンカムイ』。原作には原作の、アニメにはアニメの、実写化には実写化の魅力がある。まずは秋のドラマ版を楽しみに待ちたい。

(ヨークシャー)

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