SBI、楽天、マネックス…新NISAで自分に合った口座はどう選ぶ?

2024年にスタートした新NISAは、大きな盛り上がりを見せています。日本経済新聞によると、2024年1月の新NISA口座経由の購入額は1.8兆円。旧NISAの3倍ペースだというのですから驚きです。

そんな新NISAを始めるには、金融機関に口座開設する必要があります。しかし、新NISAは1人1口座のルール。新NISAができる金融機関はたくさんあるので「どこでスタートするのがいい?」と悩んでしまう方もいるでしょう。

今回は、自分に合った新NISA口座の選び方を一緒に見ていきましょう


新NISAでできる投資は?

NISAは投資の利益にかかる税金が一生涯ゼロになる制度です。新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの投資枠を使った投資ができます。

<新NISAの概要>

(株)Money&You作成

つみたて投資枠では、金融庁が定める条件を満たす投資信託・ETF(上場投資信託)に積立投資ができます。対する成長投資枠では、つみたて投資枠の商品だけでなく株式やREIT(不動産投資信託)など、さまざまな商品を購入できます。

新NISAでお金を増やしていくならば、つみたて投資枠を優先して活用するのが王道の戦略です。投資の3原則「長期・積立・分散」投資が手軽に実現でき、堅実にお金を増やすことができるからです。

成長投資枠は、つみたて投資枠に上乗せする形で株式投資をしたり、つみたて投資枠で投資できない商品に投資したりするのに活用するのが良いでしょう。

新NISA口座を開設する金融機関どうする?絶対外せない3つのポイント

新NISAは1人1口座しか持てません。利用する金融機関を後で変更することもできるのですが、手間も時間もかかります。その手間や時間をなくすには、最初から自分に合った金融機関で新NISAを始めるにつきます。

新NISA口座を開設する金融機関を選ぶにあたって、まず次の3つのポイントを押さえておきましょう。

(1)自分の欲しい商品が購入できるか

つみたて投資枠で投資できる投資信託は、金融庁の基準を満たしたもののみですが、実際に投資できる投資信託は、金融機関によってラインアップが異なります。ネット証券などでは大多数の投資信託を扱っているのに対し、店舗の銀行や証券会社では商品を数本程度に絞っていることもあります。また、株式、REIT、ETFに投資をしたいならば必然的に証券会社一択になります。

(2)サイトやアプリが使いやすいか、サービスが充実しているか

各金融機関にはウェブサイトやアプリが用意されており、さまざまな情報をチェックできます。また、入出金や売買などもスマホでできるようになっています。金融機関によっては本来有料の情報を無料で提供しているところもあります。使いやすいサイト・アプリになっていれば、投資もはかどります。

また、金融機関のなかには、投資しながらポイントが貯められるところもあります。クレジットカードでつみたて投資枠の商品を購入する「クレカ投資」を利用すれば、クレジットカードのポイントが貯められます。また、投資信託を保有することでポイントが貯まる金融機関も。資産運用によってお金が貯まるだけでなくポイントまで貯められるのですから、ダブルでお得ですね。

3手数料が安いか

投資にかかる手数料は、金融機関によっても異なります。つみたて投資枠での売買手数料はどの金融機関でも無料ですが、成長投資枠の場合は金融機関によって異なります。主なネット証券では、新NISAを利用した投資の売買手数料を無料にしています。
また、投資信託を保有する間にかかる手数料である信託報酬の安い商品が揃っているかは重要です。

加えて、以下の点も満たしていればベターです。

毎月積立よりも細かな頻度で積立ができるか

→「毎週」「毎日」積立に対応している金融機関も。検証すると累積リターンは「毎月」と大差ないが、積立頻度が細かいほうが有利

米国株・米国ETFが充実しているか

→日本株への投資はどの証券会社でも大差ないが、米国株・ETFは金融機関によって大きく異なる。たくさん取り扱っている金融機関のほうがベター

少額から投資できるか

→つみたて投資枠では毎月100円から積立投資ができる金融機関もある。成長投資枠の株式投資では、通常100株単位で取引する日本株を1株単位で購入できる「単元未満株」サービスがあれば、少額でいろいろな株が買える

おすすめはネット証券 SBI証券・楽天証券・マネックス証券をチェック

以上の点を踏まえると、おすすめはネット証券。具体的には、SBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社から選ぶとよいでしょう。

<SBI証券・楽天証券・マネックス証券の比較表>

(株)Money&You作成

表からもわかるように、SBI証券・楽天証券・マネックス証券ともつみたて投資枠対象商品や米国株を多数扱っています。日本株・米国株・単元株の取引手数料も無料ですし、単元未満株の取引もできます。さらに、投資信託を保有していることでポイントがもらえるサービスもあります。少額から投資して、お金を堅実に増やすことができるでしょう。

以下、3社の特徴を具体的に見ていきましょう。

SBI証券

ネット証券最大手のひとつ、SBI証券のNISA口座では、国内株式・米国株式・海外ETF・投資信託の取引手数料がすべて無料になっています。単元未満株の取引でも取引手数料がかからないので、コストを極力抑えたい人に向いています。

つみたて投資枠での投資信託の買い付けには、三井住友カードを利用したクレカ積立が利用可能。Vポイントが0.5~5.0%(カードの種類により異なる)貯められるうえ、「投信マイレージサービス」によってTポイント・Vポイント・Pontaポイント・dポイント・PayPayポイント・JALのマイルのうちから1つ選んだものをもらえます。

還元率は商品により異なりますが最大年0.25%(JALのマイルは最大で年0.125%)。Tポイント・Pontaポイント・Vポイントは1ポイント=1円で投資にも利用できます(なお、2024年春にTポイントとVポイントが合併して青と黄色の「Vポイント」になる予定です)。

スマホアプリ「SBI証券株 アプリ」では、銘柄を絞り込む検索機能が便利。たとえば「人工知能」と検索すれば、人工知能(AI)に関係のある企業が表示されるので、いろいろな銘柄を見つけるきっかけにできます。また、株主優待も優待の権利確定日や品目で検索できるので、お目当ての優待を探しやすいですね。

住信SBIネット銀行と口座を連携する「SBIハイブリッド預金」を利用すれば、住信SBIネット銀行の口座のお金をそのまま投資に回すことが可能。出金時も直接住信SBIネット銀行の口座に振り込まれますので、SBI証券の口座への入出金の手間が省けます。そのうえ、設定によって住信SBIネット銀行の普通預金金利が0.001%から0.010%と、10倍になります。

楽天証券

楽天証券もSBI証券と並ぶネット証券最大手の一角。楽天証券のNISA口座でも、国内株式・米国株式・海外ETF・投資信託の取引手数料がすべて無料です。

楽天証券の「かぶミニ®︎」では東証に上場する約1600銘柄に1株から投資が可能。うち約700銘柄は取引時間内に注文してすぐに売買が成立する「リアルタイム取引」ができます。加えて、「かぶツミ®︎」では3000円以上・1株から単元未満株や単元株の積み立て投資ができます。日本株はもちろん、米国株の積み立てにも対応しています。これらも、新NISAに対応しています。

楽天キャッシュ決済では、楽天カードからチャージして支払うことで一律0.5%の楽天ポイントがもらえます。また、楽天カードクレジット決済をすることでも0.5~1.0%の楽天ポイントがもらえます。
楽天ポイントは投資にも活用可能。楽天ポイントを使った投資信託・米国株式の購入はSPU(条件を満たすと楽天市場での買い物でポイントが多くもらえるようになるサービス)の対象で、「月間合計3万円以上のポイント投資(投資信託):+0.5倍」「月間合計3万円以上のポイント投資(米国株式、円貨決済):+0.5倍」となります。楽天ポイントは1ポイントでも使えばSPUの対象になります。

さらに、投信残高ポイントプログラムでは、「楽天・プラスシリーズ」の投資信託を保有することで毎月の平均保有金額に応じて年率0.017%~0.053%の楽天ポイントがもらえるほか、月末時点の残高が一定に達すると資産形成ポイントももらえます。

スマホアプリ「iSPEED」では日経新聞の記事が無料で読める「日経テレコン(楽天証券版)」がお得。会社四季報の情報もアプリから参照できます。
SBI証券同様、楽天証券と楽天銀行の口座を連携する「マネーブリッジ」を設定すると、楽天銀行の口座に入金したお金が直接楽天証券での投資に利用できます。そのうえ、普通預金の金利が0.02%から最大0.1%(300万円超の部分は0.04%)に上昇します。

マネックス証券

マネックス証券のNISA口座でも、国内株式・米国株式・海外ETF・投資信託の取引手数料がすべて無料です。

マネックス証券ではマネックスカードを利用したクレカ積立でマネックスポイントが貯まります。マネックスポイントはAmazonのギフト券やTポイント、航空会社のマイルなどと交換可能。基本還元率も1.1%と高くなっています。また、保有する投資信託の残高に応じて、最大年率0.08%のマネックスポイントが貯まります。

NTTドコモと業務提携したことから、2024年夏にはdカードを利用したクレカ積立ができるようになり、マネックスポイントの代わりにdポイントが貯めたり投資に使えたりするようになる予定です。
また、マネックス証券はイオン銀行とも業務提携しています。将来的にはイオンカードを使ったクレカ投資やWAONポイントを使ったポイント投資も検討されています。

マネックス証券では「米国株定期買付サービス」で米国株・米国ETFの積立投資ができます。米国株・米国ETF購入時の為替手数料が無料(売却時は25銭)となっており、手数料を抑えた取引ができます。また、「配当金再投資サービス」を利用すると、得られた配当金で自動的に同じ銘柄を購入できます。

スマホアプリ「マネックス証券アプリ」では株式投資だけでなく、投資信託など、他の商品の売買もできます。積立の設定もスマホからできるので簡単です。

よく使う経済圏から証券会社を選ぼう

新NISAで自分に合った口座の選び方を紹介してきました。「自分の欲しい商品が購入できるか」「サイトやアプリが使いやすいか、サービスが充実しているか」「手数料が安いか」という点から考えると、有力なのはSBI証券・楽天証券・マネックス証券。SBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社であれば、どこであっても自分のしたい投資ができるでしょう。

3社とも証券口座の開設は無料ですので、3つとも課税口座(特定口座または一般口座)の口座を開設しておくのがおすすめです。複数の口座を持っていれば、さまざまな投資情報を手に入れることができますし、万が一どこかの金融機関にシステムのトラブルが発生した場合でも、他の金融機関を利用することができます。

ただ、NISA口座はどこか1社にする必要があります。そこで考えたいのがよく使う経済圏です。クレカ投資などでもらえるポイントは、各社異なることを紹介しました。

・SBI証券:クレカ積立はVポイント、投信保有ポイントはTポイント・Vポイント・Pontaポイント・dポイント・PayPayポイント・JALのマイルから選択した1つがもらえる

・楽天証券:楽天ポイントがもらえる
・マネックス証券:マネックスポイントがもらえる(2024年夏よりdポイント、将来的にはWAONポイントも?)

また、Webサイトやアプリの使いやすさで判断するのも一つです。NISAは長く利用する制度ですので、使いやすさで選ぶのも重要です。ただこれに関しては、ご自身で使ってみて判断するのが一番だと思います。

金融機関が決まったからと安心していてはいけません。口座開設が済んだらすぐに投資をスタートさせましょう。お金を増やすためには、早く投資を始めて、長く続けることが大切。将来のために、まずは一歩を踏み出すことをおすすめします。

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