令和に“ダイハード打線”復活の予感 ソフトバンク・甲斐拓也の変貌ぶりに元相棒も驚愕「だれやこれは」

ⒸSPAIA

「スイング全然違う」かつての戦友も太鼓判

2020年以来となるV奪還を目指すソフトバンクが好調だ。オープン戦はここまで2戦2勝。2試合連続で2ケタ安打を記録するなど、好調な打線がチームを牽引している。

中でも目立っているのが、プロ14年目を迎える捕手の甲斐拓也だ。オープン戦は2試合で4打数2安打の打率5割、しかもその2本はいずれも本塁打で、オープン戦本塁打王の座に君臨している。

また、3日(日)に行われた韓国のチームとの練習試合でも本塁打を放っており、それも含めれば3試合連続本塁打中と絶好調。この大暴れに、海の向こうで戦う“元相棒”も思わず反応した。

かつてのソフトバンクのエースで甲斐とは同期入団、現在はニューヨーク・メッツでプレーする千賀滉大が自身のSNSで躍動する甲斐に言及。5日の試合で放った本塁打の動画を引用する形で「スイング全然違う 体からいってますやん だれやこれは。」と驚きの声をあげた。

長らくともにプレーをし、その姿を見続けてきた戦友を驚愕させるほどの変貌ぶり。打者としての飛躍に期待が膨らむ。

令和に「ダイハード打線」復活?

今季のソフトバンクと言えば、FAで山川穂高が加入。直近6年で3度もパ・リーグ本塁打王に輝いた右の大砲も、5日のオープン戦で“本拠地第1号”を叩きこむなど順調に快音を響かせている。

また、オフにトレードで獲得したアダム・ウォーカーも3日の春季教育リーグで本塁打を放つなどアピール中。こちらも巨人時代の2022年にシーズン23本塁打を記録した実力者であり、新天地での爆発に期待がかかる。

チームでは柳田悠岐と近藤健介の両輪に加え、故障からの復活を期す栗原陵矢ら左の好打者が多く揃っている一方、近年は印象的な右の強打者が不在。外国人頼みにならざるを得なかった。

それだけに新加入の2人が上々のスタートを切っている点は頼もしく、そこに甲斐が打撃開眼の兆しを見せているとあれば、他球団にとっては脅威でしかない。

前身のダイエー時代も含めたホークスの強力打線と言えば、やはり2003年の「ダイハード打線」を思い浮かべる人が多いだろう。

チーム打率.297は今なお破られていないプロ野球レコードで、個人を見ても3~6番を担った井口資仁、松中信彦、城島健司、ペドロ・バルデスの4名がシーズン100打点超えを達成。「100打点カルテット」もプロ野球史上初の快挙だった。

しかし、破壊力で言えば今年の選手たちも見劣りはしない。小久保裕紀新監督の下、球史に名を残す新たな超強力打線の誕生も夢ではないはずだ。

「捕手20発」達成ならチーム15年ぶり

令和版・ダイハード打線のキーマンとしては山川やウォーカーといった新加入組に目が行きがちだが、カギを握るのは甲斐拓也かもしれない。

2003年の打線を振り返ると、当時のチームには城島健司という強打の捕手が扇の要に君臨していた。2003年の成績は打率.330、34本塁打、119打点。ただでさえ捕手の併用制が一般的となった現代において、捕手のこの打撃成績はなかなかお目にかかることができない数字だ。

しかし、裏を返せば“強打の捕手”がいれば他球団との比較で大きなアドバンテージとなる。さすがに城島級の数字を求めるのは酷だが、この春の甲斐を見ているとキャリアハイを更新する15本塁打、その先の20本塁打まで現実的なラインと言えるだろう。

特に今季はオフに複数年契約を断り、単年契約で挑むシーズン。順調にいけば今年中にFA権を取得するとあって、プロ野球選手としてひとつの節目となる重要な1年だ。契約更改でも「優勝しないといけないチーム」「優勝しかない」と強い想いを口にしており、2024年にかける覚悟を感じさせていた。

投手陣を引っ張るだけでなく、自らの手で援護点をたくさん叩き出すことでチームを上位へ導く。この強い想いが、新たな強力打線完成のための最後のピースとなるのではないか。

ちなみに、球団の捕手で城島の後にシーズン20本塁打以上をクリアしたのは、2009年の田上秀則だけ。15年ぶりの「捕手20発」達成で悲願のV奪還をつかみ取ることができるか。守りの要にして打線のキーマンでもある甲斐拓也の躍動に注目だ。



© 株式会社グラッドキューブ