ソロ活動10周年を迎えた武藤彩未の覚悟。“最初で最後”の写真集に込めた思いとは

幼少期よりモデルやキッズグループ「可憐Girl's」として活動し、アイドルグループ「さくら学院」の初代生徒会長(リーダー)を経て、2013年にソロ活動を開始した武藤彩未。彼女のソロデビュー10周年を記念した写真集『最初で最後』(小社刊)が、3月12日に発売される。

長いキャリアを持つ武藤だが、写真集は本作が初めてとなる。撮影は広島県尾道市を中心に行なわれ、1980年代ポップスを愛する彼女らしいレトロな雰囲気がたっぷり。さらに、水着やランジェリーに初挑戦したことも話題となっている。発売を目前に控え「楽しみでありドキドキもします」と語る彼女に、撮影時のエピソードやソロ活動10年間の思いなどを聞いた。

“最初で最後”のつもりで本気で臨みました

――長年、芸能活動をされている武藤さんですが、なぜこのタイミングで写真集を制作することになったのでしょうか?

武藤 スタッフさんたちと「ソロデビュー10周年だからこそ、今までやってこなかった新しいことができたらいいね」という話になり、写真集の案をいただいたのが最初のきっかけです。まさか私が写真集を出せるなんて思ってもいなかったので、自分でもびっくりです!

――写真集を出せると思っていなかった?

武藤 はい。だって、写真集を出すなんてすごいことじゃないですか! 小さい頃から芸能活動をやってきたものの、今までこういう機会もなかったですし、自分から「やりたいです」と言ったこともない気がします。グッズとしてフォトブックを作ったことはありましたけど、こうして出版社さんから写真集が出せるなんて想像もしていませんでした。だから驚きですし、とてもうれしいです。

――写真集を出すことを発表したことで、ファンからの反響も大きかったですよね。

武藤 普段は歌を歌っているので、「まさか彩未ちゃんが写真集を出すとは!」という反応が大きくて。しかも、同時に水着などにも初挑戦すると発表したので、ファンの皆さんもドキドキしているみたいです(笑)。私のファンの方って、私が小さい頃から応援してくれているので、お父さんのように見守ってくれているような方が多いんですよ。だから、皆さん「彩未ちゃん、大人になったんだね」って喜んでくれていて。私も発売が楽しみです。

――本作は、武藤さんが大好きな「レトロ」をテーマに制作されたと伺っています。

武藤 私は懐かしいものが好きで、音楽活動をするうえでも「レトロ」を大切なテーマにしているので、写真集でもそれをうまく表現したいと思って相談させていただいたところ、「広島の尾道がいいんじゃない?」と提案していただきました。

尾道に行くのは今回の撮影が初めてだったんですけど、懐かしい雰囲気の商店街や旅館など、まさにテーマにぴったりな場所だったので大好きな街になりました! 夜しか営業していない古本屋さんにも行き、私が大好きな80年代のアイドルさんの雑誌を見つけて、めちゃくちゃ興奮しました(笑)。

――古本屋で撮られたカットには、ファンの方なら「おっ!」と思う懐かしいものも写っていますね。

武藤 お店の方が用意してくださったものなんです。わかる人にはわかるポイントだと思いますね。

――では、写真集撮影時の思い出や、お気に入りのシチュエーションについて教えてください。

武藤 夕日をバックに撮った写真が2パターンあって、どちらも気に入っています。サンセットビーチの夕日はとても綺麗で、まるで海外にいるような気分でした。また、フェリーからの夕日は、数分くらいしかチャンスがないなかで撮っていただきました。限られた時間でスタッフの皆さんと力を合わせて撮ったのは良い思い出ですし、ステキな瞬間を収めていただいてうれしいです。この一冊の締めくくりにぴったりな写真になりました。

――ちなみに、この撮影をした時期はいつ頃ですか?

武藤 じつは冬なんです。サンセットビーチは風も強くて、寒くて。

――真冬の海辺での撮影は大変だったですよね。

武藤 そうですね、ふふふ(笑)。でも、冬だからこそ空が澄んでいて綺麗だったんですよ。夏じゃ撮れない画になったなと思います。

――それ以外に苦労したシーンなどはありますか?

武藤 苦労というか、一番緊張感があったのは水着での撮影です。私にとって初めての経験だったので、ものすごく緊張しましたし、最初はどう立っていいのかもわからずソワソワしていました(笑)。でも、カメラマンさんやスタッフさんが優しく声を掛けてくださり、徐々に緊張も解けて。「力まず自然体でいいんだ」と感覚を掴んでからは抵抗もなくなり、自然体の私を撮っていただけました。

――水着で撮影するにあたって、事前に準備もされたと思います。

武藤 ジムに行って走ったりして体作りをしました。あと、ライブをすると体重が落ちるので、いっぱい歌いましたね(笑)。見え方も、ちょっとした角度の違いで全然変わってくると思ったので、鏡を見て研究しました。

――実際に撮影された自分の姿を見て、感想はいかがですか?

武藤 今まで自分で自分の体をじっくり見ることがなかったので、「あ、こんな感じなんだ!」と新鮮でした。スタッフさんから「肌が白くて綺麗」と言ってもらえたのはうれしかったです。

――改めて、完成した写真集をご覧になって感想はいかがですか?

武藤 こんなにたくさん撮っていただく経験は初めてでしたし、27歳の女性として綺麗な瞬間を収めていただき感動しました。

―写真集のタイトルは『最初で最後』。これは言葉のままに意味を受け取ったらいいんでしょうか?

武藤 そうですね。水着での撮影も含めて、最初で最後のつもりで本気で臨みました。私の覚悟を感じてもらいたくて、わかりやすいタイトルにしました。

――でも、これだけ綺麗に撮ってもらってステキな作品ができたんですから、「最後」というのはもったいないのでは?

武藤 いや~、う~ん(笑)。でもこれ以上のものはないと思うし、今できる精いっぱいを収めることができたので、これが最後です。そう言い切れるくらい自分でも満足できる写真集になりました!

離れても、やっぱり私は歌が好き

――ソロデビューから10周年を迎えて心境はいかがですか? この10年は決して平坦な道程ではなかったと思います。

武藤 活動をお休みしている期間もあったんですけど、離れても結局「やっぱり私は歌が好き」って感じましたし、きっと私から歌を取ったら何もなくなっちゃうんだろうなって。だからこそ、今も歌えていることが幸せです。好きなことに出会えた幸せを改めて実感できた10年だったと思います。

――「歌が好き」という気持ちが武藤さんの原点であり、活動を続けられる原動力なんですね。

武藤 はい。歌っていると楽しいし、「好き」って感情はやっぱり大事だなと思いました。

――写真集発売に際し、武藤さんは「10年前まだ若かった私ですが、今なりたい女性像に近づけている気がします」とコメントを出されていました。どういう部分にご自分の変化を感じますか?

武藤 最近「大人っぽくなった」と言ってもらえることが増えたんです。幼く見られがちだったんですけど、特にこの写真集は「今まで見たことがないくらい大人っぽい」と言ってもらえて。

――それはご自分で何か努力をされた結果なのでしょうか? 「ずっと幼いままじゃいられない」といった焦りがあったとか?

武藤 焦りはなかったけれど、「大人っぽく見られたい」という気持ちはありました。なので、メイクや洋服選びは意識するようになりました。20代後半でやっと、という感じなんですけど(苦笑)。このお仕事をしていると、メイクをやってもらうばかりで、自分でやる機会があまりなかったんですよね。だから、ここ数年でメイクはたくさん練習しました。洋服も、私は身長が小さいから、少しでもスラっと見えるようなものを意識して選んでいます。

――では、内面での変化はいかがですか。物事の見方や考え方が変わったりしました?

武藤 今まで以上に自分の意思が強くなったかな。ソロデビューした当初は、言われたことをやるだけで必死だったんですけど、今は自分のやりたいことも伝えられるようになったし、それを表現できるようになってきたと思います。

――音楽においても、「私はこういうことがしたい」という思いを伝えたうえで活動されている、と。

武藤 そうですね。私は80年代の曲が好きなので、それをどう自分の音楽に落とし込んでいくか、いつもスタッフさんと話し合いながら進めています。

いつかディナーショーを開催してみたい

――そんな武藤さんは、2月14日に新曲『Eternal love』の配信がスタート。異国情緒漂うサウンドに情熱的な歌詞が印象的です。

武藤 今回、楽曲でも大人っぽさを表現できたかなと思っています。27歳になり、大人っぽいものに挑戦したくて。もともと『tsubaki』という曲があり、その続編をイメージして作っていただいたんですけど、『tsubaki』の“か弱い雰囲気”が今回は強さに変化しているところから成長を感じてもらえたら、と。命令口調の歌詞も、今までは歌ったことがなかったので、今だからこそ歌える曲だし、これからずっと歌っていきたいですね。

――制作面で特に武藤さんがこだわった点は?

武藤 普段の制作時は、音源を聴いて「ここをもっとこうしたいです」と要望を伝えながら進めていきます。でも、今回はSoulifeのお二人が最初から私のどストライクなものを作ってくださって。歌謡曲っぽいメロディもラテンっぽい雰囲気もステキで、聴いた瞬間「わ~、明菜ちゃんだ!」って感じました。

――確かに中森明菜さんに通じるサウンドですね。

武藤 はい! 私がやりたかったことを一発で提示してくださって、とてもうれしかったですし、すんなりレコーディングに移ることができました。エモーショナルな楽曲なので、ライブでもきっと盛り上がると思います。

――今後、音楽活動でどのような展開を予定されていますか?

武藤 「10周年イヤー」ということで、すでにいろいろと動き出しています。現在制作中なので、近いうちにお届けできるはず。期待して待ってもらえたらうれしいです。

――では最後に、武藤さんはどのような将来像を描いていますか? 挑戦したいことなどがあれば教えてください。

武藤 いま20代後半で、たぶんあっという間に30代になっちゃうと思うんですけど、その時その時で表現できることをしていきたいなと思っています。そして、後々はディナーショーを開催してみたくて。私自身、アーティストさんのディナーショーをいっぱい見に行っていて、本当に大好きな空間なんです。

なので、私もいつかそういう場所で歌を聴かせられる人になりたいです。やっぱり歌が好きなので、どんな形であれこれからもずっと歌い続けていきたいです!


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