ヤミ金債務者が自殺 過酷な督促で追い込まれたか 沖縄県警が捜査 売春行為に及んだ人も

 大規模なヤミ金グループメンバー9人が出資法違反の疑いで逮捕された事件で、このグループから金を借りていた債務者の1人が自殺していたことが5日までに捜査関係者への取材で分かった。過酷な督促で追い込まれたとみられ、県警合同捜査本部も事情を把握している。捜査本部はメンバーを6日にも同法違反で再逮捕し、別の貸し付けについても追及する方針だ。

 捜査関係者によると、問題のヤミ金グループは返済が滞ると「強盗して返せ」「売春して返済しろ」などと激しく迫っていた。実際に、売春行為に及んだ人もいたという。

 同グループは違法に取り立てた現金を県内の両替所でドルに両替し、指示役が潜伏するカンボジアに持ち出していた疑いもある。いわゆるマネーロンダリング(資金洗浄)によって犯罪収益を秘匿化しようとした狙いがうかがえるという。

 ヤミ金問題に詳しい東京情報大学総合情報学部の堂下浩教授(金融論)は「明らかに生活困窮者層を狙った犯行だ。困窮者に向けた安全な小口融資が足りていないし、債務整理市場も機能していないことの表れではないか」と指摘する。

 「資金需要者にとって、正規の消費者金融とヤミ金に差異はない。貸金業界はヤミ金問題を『自分たちとは関係ない』という意識を捨て、防止する手だてを具体的に考えるべき社会的責任がある」と話している。

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