南部菱刺し、キットで気軽に 青森・五戸町の研究会が開発、近く販売へ

南部菱刺しのキーホルダーキットと、参加者が作ったキーホルダー(左)
会員に教えてもらいキットを使って南部菱刺しを体験する参加者たち

 青森県五戸町が発祥ともいわれる南部菱(ひし)刺しの愛好者を増やすため、五戸菱刺し研究会(高橋博子代表)は、菱刺しを施した布をキーホルダーにできるキットを開発した。さらに改良して近く販売し、収益をホームページの維持などの活動費に充てる予定。

 キットには「牛(べこ)の鞍(くら)」などの柄を半分刺してある布、草木染の糸、キーホルダー金具、図案などが入っている。キーホルダーは直径約4.5センチになり、柄は数種類を用意する。価格、発売時期は未定。

 キットのお披露目は2月25日、ひばり野スポーツ交流センターで、県が開催した「南部菱刺し 関係人口の受け入れを通じた認知度・価値向上プロジェクト報告会」で行った。

 希望者約10人は会員に聞きながら、図案を参照して布に糸を刺していった。針を刺す箇所を間違えても、会員が「すぐ直せるから大丈夫」などと励まし、作業を進めた。完成した布は金属製の本体に接着剤で貼り、ふたカバーや布の耳を付けて仕上げた。同町の戸来かおるさんは「面白くて南部菱刺しの魅力にはまりそう」と話していた。

 高橋代表は「若い会員たちが新しい感覚の作風を加えて、いい作品ができている。キーホルダーキットを通じて、魅力を広く知ってもらいたい」と語る。

 また報告会で、昨年11月の担い手育成講座から事業に関わってきたIT企業・MUSASI D&T(本社仙台市)の青森サテライトの五十嵐淳さん(三戸町)が(1)職人の技術と文化を動画で紹介する「ニッポン手仕事図鑑」がホームページで、五戸菱刺し研究会のPR動画を公開(2)同研究会の公式ウェブサイトができた-ことなどを紹介。五十嵐さんは「これからも関心のある町民と、活動に関わりたい町外の人(関係人口)を増やしていきたい」と話した。

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