青森県弘前市の柴田学園大学短期大学部生活科の特任教授・北山育子さんら3人が2月中旬、今別町と深浦町に伝わる海藻を使った郷土料理計10品のレシピを冊子にまとめた。北山さんは「三方を海に囲まれた本県は海藻の宝庫。海沿いの町では海藻を使った素晴らしい料理が多い。受け継がなくては作られなくなってしまう。レシピを残したい-その一心でまとめた」と思いを語った。
冊子の名前は「気軽に作って食べたい つがるの海藻料理」。「昆布の巻き寿司(ずし)」「茎わかめの甘辛煮」など今別町の料理4品、「アオサの天ぷら」「寒のり入りにんじんの子和(こあ)え」など深浦町の6点を掲載した。製作には北山さんに加え、同科の准教授・中島里美さんと講師・宮地博子さんが携わった。
3千部発行し、2千部を今別、深浦町のほか、外ケ浜町や中泊町、七戸町などの道の駅や町役場などに送った。評判は上々で、既に在庫がなくなった道の駅もあるという。
深浦町は長い海岸線を持ち漁港が多いこと、今別町はモズクが名産であることで選んだ。両町の郷土料理「名人」の女性ら計11人に料理を教えてもらいながら作り、掲載する料理を絞り込んだ。明確なレシピがないことも多く、北山さんたちが冊子用に作り方をまとめた。
中島さんは「地元の女性たちは郷土料理という意識がなく、『こんな料理でいいの?』とよく聞かれた。彼女たちにとっては普通に食卓に上る普通の料理、という感覚だった」と振り返る。
3人は学校に戻りレシピの細部を調整した。北山さんは「塩分を控えめにしたり、材料を手に入りやすいものに変えたり私たち流に少しアレンジを加えている」という。
宮地さんは「近くにいるから分からない、まだまだ知らないことが多いと痛感した。それぞれの地元の声を聞くことの大切さを学び、貴重な経験になった」と語った。
冊子は今後、学校の講義や公開講座でも活用する。北山さんは「今度は私たちが学生たちに海藻料理を伝える番。料理を作る職に就く学生も多いので、機会があれば職場や家庭で作ってほしい」と夢は膨らむ。
発行には青森学術文化振興財団から助成を受け、県東青地域県民局と県西北地域県民局から協力を得た。
冊子はインターネット上で閲覧することができる。URLはhttps://drive.google.com/file/d/1a3nGH4XNZY5InNpPQXkjqYGryrkUTe4j。