【愛媛県松山市/道後】日本最古の歌集「万葉集」にまつわるお酒とは?

道後温泉本館とともに歩み続ける、道後エリア唯一の酒蔵

水口酒造は、1895年(明治28年)の創業からずっと道後の地で清酒の製造を行っています。道後温泉本館とともに歩み続けている、道後エリア唯一の酒蔵です。

今では清酒だけでなく、ビールや焼酎、ジンやリキュール、サイダーなど、さまざまな商品づくりに挑戦して、たくさんの方に道後のおいしい思い出をお届けしています。

お帳場台のある水口酒造の店舗兼主屋は、国の登録有形文化財でもあります。水口酒造のつくるバリエーション豊富なお酒たちと、これまでに受賞した数々の賞が並んでいます。

水口酒造の始まりは、日本酒「仁喜多津(にきたつ)」の製造からでした。

「にきたつ」というのは日本人でも聞きなれない言葉かと思います。どんな意味を持つのでしょうか?

「万葉集」に描かれた、戦の必勝を祈願する歌

8世紀頃に作られ、日本で最も古い歌集と言われる「万葉集」。万葉集の中には、天皇や貴族をはじめ、さまざまな身分の人が詠んだ歌が4500首以上集められています。

この中で「額田王(ぬかたのおおきみ)」が詠んだ歌の中に「にきたつ」の言葉があります。

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「熟田津(にきたつ)に 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」

(熟田津で船出をしようと月の出を待っていると、月ものぼってきたし、潮の満ち具合も船出をするのにちょうど良くなった。さあ、今は漕ぎでよう。)

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斉明天皇が戦のために九州に向かう際、潮待ちのために道後に留まっていたと言われています。お供をしていた額田王が、戦に向かうための出港に際して、兵士を励まし、必勝を祈願したといわれている格式高い歌です。

その当時の景色が目の前に浮かんできて、戦に向かう兵士や歌を詠んでいる額田王の強い熱量が伝わってくるような、なんとも勇ましく力強い歌ですね。ちなみに、この歌を詠んだ額田王は女性です。

現在の瀬戸内海の景色。額田王もこんな青い海を眺めていたのでしょうか。(松山市公式観光WEBサイトより)

そして現在の「仁喜多津」へ

万葉の時代に「熟田津(にきたつ)」と歌われた道後の名前から、「仁愛と喜び多き津渡」の意を込めて誕生した道後の地酒『仁喜多津』。

創業以来、明治・大正・昭和・平成・令和といくつもの時代を経て、1世紀以上に渡る歴史の中で磨き上げられてきた逸品です。ずっと多くの方に愛される仁喜多津のお酒は、時代が移り変わっても味へのこだわりは変わることはありません。

そのこだわりは、あの勇ましく力強い、額田王の歌のようでもありますね。

水口酒造の前に続く「にきたつの道」。静かな道をのんびり歩きながら、遠い昔に想いを馳せるのもいいですね。(松山市公式観光WEBサイトより)

また、道後温泉別館「飛鳥乃温泉(あすかのゆ)」の女性大浴場には、額田王の歌にある、熟田津の海(瀬戸内)をイメージした陶板壁画があります。

飛鳥乃温泉の女子浴室にある、砥部焼の登板壁画。(道後温泉サイトより)

こちらは松山市の隣の砥部町を中心に作られている磁器「砥部焼」による壁画で、決まった時間ごとにプロジェクションマッピングを楽しむことができます。額田王が当時見ていたと思われる、瀬戸内の海の風景を、温泉に浸かりながら感じるのも風情がありますね。

遠い万葉の時代に想いを馳せて

はるか遠くの万葉集の時代。当時の額田王や道後の風景に想いを馳せながら、ぜひ日本酒「仁喜多津」を味わってみてください。

清酒「仁喜多津」取り扱い店舗

【道後麦酒館】 (※店内飲食可能)

住所:〒790-0842 愛媛県松山市道後湯之町20-13

営業時間:11:00〜22:00、定休日;年中無休

HP:https://www.dogobeer.jp/bakusyukan-restaurant/

【道後麦酒館 別館】 (※店内飲食可能)

住所:〒790-0842 愛媛県松山市道後湯之町14-16

営業時間:【平日】15:00〜LAST【土・日・祝祭日】12:00〜LAST、定休日:不定休

HP:https://www.dogobeer.jp/bekkan-restaurant/

にきたつ蔵部 (※店内飲食不可。購入のみ)

住所:〒790-0848 愛媛県松山市道後喜多町3-23

営業時間/10:00~18:00、定休日/月曜日(祝日の場合は翌火曜日)・第一火曜日

ホームページ:https://www.dogobeer.co.jp/club/

※本記事は2024年1月時点の情報です。

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