【米大統領選2024】民主党スーパーチューズデー、バイデン氏が14州で勝利見通し

米大統領選挙の民主党候補者を決めるための投票が5日、カリフォルニアやコロラドなど14州と米領サモアで一斉に行われた。「スーパーチューズデー」と呼ばれるこの日の投票は東部の州から順次締め切られ、開票が進んでいる。ジョー・バイデン大統領(81)はこれまでのところ、14州で勝利確実とみられている。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースは、バイデン大統がアラバマ、アーカンソー、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ヴァーモント、ヴァージニア、ミネソタ、ユタ、カリフォルニア州の各州で勝利する見通しだと伝えた。

この日には、数週間前から続いていたアイオワ州の民主党党員集会の郵便投票で、バイデン氏が勝利したことも明らかになった。

野党・共和党候補者指名争いで最有力とされるドナルド・トランプ前大統領(77)も、メイン、アーカンソー、テキサス、アラバマなど12州で勝利確実と報じられている。

バイデン氏、「我々が勝つ」

民主党の指名争いで各州での勝利を確実としたバイデン氏は、声明を発表。何百万人もの米国民がきょう「自分たちの声を上げた」とし、同氏を支持する投票は、有権者が「我々を後退させようとするドナルド・トランプの極端な計画に反撃」したいことの表れだと述べた。

バイデン氏は雇用や賃金引上げなど、自身の政権が成し遂げたとする成果を強調。国民は今後もこの流れを続けたいのか、それとも2024年大統領選でバイデン氏と争うライバルを選ぶのかという「明確な選択」に直面していると警告した。

トランプ氏については、「本人の復讐(ふくしゅう)と報復に集中している」、「女性が自分自身で受ける医療を決定する能力など、基本的な自由を奪い取ろうとしている」と指摘した。

バイデン氏は声明の最後に、民主主義を守るために立ち上がるよう国民に求めた。

「すべての民主党員、共和党員、そして自由で公正なアメリカを信じる無党派層のみなさん。いまがまさに私たちが動く時だ。これは私たちの戦いだ。まとまって力を合わせれば、私たちは勝利できる」

バイデン氏への「抗議票」

バイデン氏が勝利する見通しのコロラド州で取材するBBCのエマ・ヴァーディ記者は、同氏に対する「抗議票」を投じた民主党支持者について報告した。

コロラド州は民主党の投票用紙に「uncommitted(支持者なし)」という選択肢を設けた6州のうちの一つ。これは、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦争をめぐるバイデン氏の対応に不満があることを示すための、一部の民主党員による「抗議票」キャンペーン。

これまでのところ、「支持者なし」を選択した有権者はコロラド州での投票の約7%を占めている。

コロラド州以外では、アラバマ州、ノースカロライナ州、ミネソタ州、マサチューセッツ州、テネシー州でも「支持者なし」の選択肢がある。

5日に郵便投票の結果が出たアイオワ州の党員集会の投票でも、これが設けられた。

2月27日にミシガン州で行われた予備選では、有権者の12%にあたる10万人超が、ガザでの戦争に対するバイデン氏の姿勢への組織的抗議の一環として、「支持者なし」を選んだ。

こうした「抗議票」は、バイデン氏が民主党候補になる可能性を脅かすほどのものではないと予想されてきた。しかし、トランプ氏に対抗するために党の結束を必要とするこの時期にあって、大統領にとっては望ましくない材料となっている。

「抗議票」を選んだ有権者は、最終的には11月の本選でバイデン氏に投票することに変わりはないと認めている。それでも、たとえ実現可能性は低くても、バイデン氏を候補から降ろして別の人物を立ててほしいというメッセージを、民主党に発信したいのだという。

「世論調査結果は良くなったり悪くなったりする」

最近の世論調査では、2020年大統領選の再来になると予想されている11月の本選で、トランプ氏が優勢との見方が示された。

バイデン氏は5日放送のラジオ番組で、「世論調査の結果は良くなったり悪くなったりするものだ」と述べ、この世論調査をあしらった。

バイデン陣営のケヴィン・ムニョス広報担当は、「解決策に焦点を当て、アメリカ国民の生活を改善しようとしている人は、このレースには1人しかいない。そのことを理解するのが、本当に大事だ」と、CBSのインタビューで述べた。

アメリカの有権者が特に重視している移民問題や経済問題にどう対応していくのか問われると、「この選挙の結果を決めることになるアメリカ人一人一人にそのメッセージを伝えている」と、ムニョス氏は答えた。そして、バイデン氏は「自分の足場を固めつつある」とした。

11月の本選に臨む党候補は、夏の全国党大会で代議員の投票によって決まる。予備選で各候補は、その代議員を獲得しようと競い合う。

民主党では、代議員計3934人のうち過半数の1968人を獲得した候補が党候補となる。スーパーチューズデーでは代議員1420人の行き先が1日で決まる。

共和党は、アラバマ、アラスカ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ユタ、ヴァーモント、ヴァージニアの15州で予備選挙や党員集会を行う。

民主党は、この15州からアラスカ州を除く14州と、アメリカ領サモアで、予備選挙や党員集会を行う。

(英語記事

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