日銀、生産・消費の現状判断引き下げ検討 景気見通しは維持=関係筋

Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 6日 ロイター] - 日銀が3月18―19日に開催する金融政策決定会合で、生産や個人消費の現状判断を引き下げる方向で検討していることが分かった。足元の弱い指標を反映する。ただ、日銀では生産や消費の落ち込みは一時的とみており、経済が緩やかな回復を続けるとの先行きの見通しは維持される公算が大きいという。複数の関係筋が明らかにした。

日銀は1月の展望リポートで、生産については「横ばい圏内の動き」、消費については「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかな増加を続けている」と表現したが、足元では弱い指標が目立ってきている。

1月の鉱工業生産指数速報は前月比7.5%低下。指数は2022年以降のレンジを明確に下抜け、低下率は20年5月以来の大きさとなった。ダイハツ工業や豊田自動織機の生産停止が響き、日銀では1―3月期は生産が下振れるとの警戒感が出ている。

個人消費でも弱い指標が目立っている。昨年10―12月期の実質国内総生産(GDP)1次速報では、個人消費が3四半期連続のマイナスとなった。物価高で消費抑制傾向が続いているほか、1月の商業動態統計では暖冬で冬物衣料が不振となり、一部メーカーの生産停止で自動車販売も減少した。

もっとも、生産については一部自動車メーカーの生産停止の影響は一時的との見方が多い。消費についても、賃上げ期待から消費マインドは維持されており、賃上げが実現すれば持ち直していくとの予想が強い。日銀は「緩やかな回復を続ける」との経済の先行き見通しは維持する公算が大きい。

(和田崇彦、木原麗花)

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