平均手取り「25万円」だが…「生活格差、老後不安」日本人が抱える「深い闇」

(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁によると、日本人の平均給与は458万円。しかしこの「平均」は、一部の高級取りにより引き上げられた額であるのが実態です。総務統計局家計調査などをもとに、日本人の生活について見ていきます。

平均給与458万円…鮮明になる日本人の格差

国税庁『令和4年分 民間給与実態統計調査結果』が公表されました。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円。令和3年度は443万円でしたから、15万円分数値を上げています。

1年を通じて勤務した給与所得者の平均賞与は72万円です。過去3年の平均賞与は以下の通り。

令和元年度…70万円

令和2年度…65万円

令和3年度…67万円

令和2年度の「5万円」という減少幅はリーマンショック後以来の大きさでした。令和4年度は、金額としてはコロナ禍以前の水準まで回復したといえます。

平均給与458万円/平均賞与72万円ですと、月の収入では32万円ほどになります。前年の収入によって多少の差はあるものの、手取りは25万円ほどです。2人以上の世帯の消費支出が約32万9,518円(令和5年12月分/総務統計局家計調査)。一人で家族を養うのは、「平均」では不可能であることがうかがえます。

なお、総務省『家計調査 2022年(令和4年)貯蓄・負債の概要』より、年齢別2人以上の世帯の貯蓄額について見てみると、40歳未満「812万円」、40歳~49歳「1,160万円」、50歳~59歳「1,828万円」、60歳~69歳「2,458万円」、70歳~「2,411万円」となっています。

お給与、貯蓄額ともに格差が鮮明になる昨今の日本社会。

日本全体の「お金への不安」はかつてないほどピークに高まっている今、はたして日々の生活、そして老後は“大丈夫”なのか? 岸田総理は就任当初、令和を生きる日本人に向けて、次のような政策を掲げていました。

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■人生100年時代の不安解消

⇒ 働き方と関係なく、充実したセーフティーネットを受けられるよう、働く方は誰でも加入できる「勤労者皆社会保険」を実現。

■子育て世帯の住居費・教育費を支援

⇒ 中間層の拡大に向け、分配機能を強化し、所得を引き上げる、「令和版所得倍増」を目指す。特に、子育て世帯にとって大きな負担となっている住居費・教育費について、支援を強化。

■あなたの所得が増える「公的価格の抜本的見直し」

⇒ 看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにも関わらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすため、「公的価格評価検討委員会(仮称)」を設置し、公的価格を抜本的に見直し。

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首相就任から月日の流れた今、所得倍増という言葉に、どんな思いを抱くでしょうか。

年金はどうなる?厚生労働省のコメントによると…

なお、今後の年金の行く末に関しては、厚生労働省が正式コメントを発表しています。「少子高齢化が進行すると、若い世代の年金額は減ってしまうのではないか?」という問いへの答えが、下記になります。

“A.年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証しており、令和元年の財政検証では、若い世代が将来受け取る年金は、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き、将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込みです。年金制度が破綻している、若い世代は年金を受け取れない、といったことは全くありません。”

生活格差、老後不安。お金の問題が「解決」する設計図は描けるのでしょうか。コロナ禍がひと段落し、日本はまた新たな段階に至っているといえますが、国民全体が感じている心労の深い闇はその濃さを増す一方です。

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