豆乳にかかわる、知っておきたい食物アレルギー情報

皆さんの身近なところに、食物アレルギーのお持ちの方はいらっしゃいますか。私の周りにも、特に小さなお子さんをお持ちの方など、食物アレルギーに悩まされている方がたくさんいらっしゃいます。すでにご存知の方も多いとは思いますが、豆乳も食物アレルギーと無縁ではありません。

今回は、日々の中で安心して豆乳を口にできるよう、知っておきたい食物アレルギーの知識を学んでいきましょう。

豆乳と関連する食物アレルギー(※)とは?

皆さんもご存知の通り、豆乳は大豆から作られます。大豆は日本人の食生活に欠かせない食品である一方、実は食物アレルギーの発症数の多さ等から「特定原材料に準ずるもの」として位置づけられているアレルゲンの1つです[1]。

よって、原材料である大豆の食物アレルギーがある方は、豆乳でもアレルギー症状が出る可能性が高いため、摂取を控えた方が良いでしょう。他の大豆製品でアレルギー症状が出ない方でも、ごくまれにアレルギー発症例がありますので、なるべく少量からの試飲をおすすめします[2]。

(※)食物アレルギーとは?
食物を摂取した時に、身体が食物に含まれるたんぱく質等(以下「アレルゲン」という)を異物として認識し、自分の身体を防御するために過剰な反応を起こすこと[1]。

意外と知らない!?花粉症との関係

大豆アレルギーのほか、豆乳に関わる食物アレルギーのことで知っておいていただきたいのは、花粉症との関係です。ただし“花粉症”と言っても、多くの日本人を悩ませているスギ花粉ではありません。豆乳による食物アレルギーと関係あるのはカバノキ科の花粉(シラカンバ、ハンノキなど)。この花粉症を患っている人が豆乳を飲むと、口腔内での違和感などを中心としたアレルギー症状をきたす恐れがあります。一般的な症状は、口の中や喉の痒み、イガイガ感など。重篤な場合、気道狭窄や呼吸困難、顔面浮腫などのアナフィラキシー様の症状を起こすこともあります。

カバノキ科の花粉症のほか、りんごや桃を食べて喉がかゆくなる方も注意が必要です。豆乳のほか、柔らかい豆腐などの口腔内での吸収性が高い大豆製品が、このタイプのアレルギーを引き起こす可能性があり、特に成人女性に多く発症することが分かっています。初めて豆乳を飲む方は、念のため少量からの試飲を心がけましょう。

カバノキ科の花粉は春に飛散する花粉で、スギ花粉の飛散時期と重なっています。実際のところ、症状のみからではカバノキ科花粉症かスギ花粉症かは判別できません。判別には医療機関でのアレルギー検査が必要です。[2,3]

しっかりと知識をつけて安全に豆乳を楽しもう!

豆乳に限らず、食物アレルギーが不安な時は、パッケージに記載されている表示を確認するようにしましょう。

「豆乳が大好きで毎日飲んでいるけど大丈夫?」などのご質問をいただきますが、習慣的に飲んだり、たくさん飲んだりすることで食物アレルギーが発症するわけではありません。現在、豆乳等の大豆製品を問題なく摂取できている人が、今後も摂取し続けることは通常問題ないと考えられています。正しい知識を身につけて、豆乳を安心して楽しんでいただければと思います。

【参考文献】(全て2024年1月31日参照)

[1] 消費者庁, 食物アレルギー表示に関する情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/

[2] 独立行政法人国民生活センター, 豆乳等によるアレルギーについて-花粉症(カバノキ科花粉症)の方はご注意を-
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20131205_1.html

[3] 一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会, 食物アレルギー診療ガイドライン2021


【プロフィール】藤橋ひとみ
株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士
東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。すべての人が毎日の食事で 心と体のトラブルを予防・改善できる社会づくりに貢献すべく、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。豆乳マイスタープロのほか大豆製品に関する資格を多数取得し、管理栄養士の知識を活かしながら、その魅力を発信している。

【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/

(2024年1月31日豆乳あるあるマップ掲載記事より)

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