アングル:金が最高値、ファンド勢がモメンタムに注目 米利下げ観測追い風

Polina Devitt Ashitha Shivaprasad

[ロンドン 5日 ロイター] - 金価格が5日、過去最高値を更新した。米利下げ観測や地政学リスクの継続を背景にモメンタム(勢い)を重視するファンドが取引を活発化しており、今後一段と値上がりする可能性がある。

アジアの旺盛な現物需要、中央銀行による購入、安全資産として魅力など、さまざまなファンダメンタルズ要因も追い風だ。中銀は8カ月連続で金を買い越している。

金の現物価格は最高値の1オンス=2141.59ドルまで上昇した。

ストーンXのアナリスト、ロナ・オコンネル氏は「自己実現的な上昇となっている。ストップが発動されており、当然モメンタムファンドを呼び込んでいる」と指摘した。

テクニカル分析では、フィボナッチ水準である2180ドルに向けて一段高となる可能性がある。

ヘレウスのシニア貴金属トレーダー、アレクサンダー・ズンプフェ氏は「この流れを維持できるか、調整局面に入るかを見極める上では今後数日が非常に重要だろう。特に経済指標やパウエル米連邦準備理事会(FRB)の議会証言に注目が集まる」と述べた。

独立系アナリストのロス・ノーマン氏は金相場が今年2300ドルに達すると予想。「FRBが利下げに踏み切るのは明らかで、相場は(2300ドルに向けて)動くだろう。今後数週間でそれが実現する可能性は低いが、6カ月以内には実現するとみられる」と述べた。

金需要の柱の一つである金の上場投資信託(ETF)の金保有高は足元で減少が続いている。世界最大の金ETFであるSPDRゴールド・トラストの金保有高は今年に入り7%減少した。

銀の現物価格も4日以降急騰し、主要なテクニカル水準を上抜けた。直近では0.2%高の1オンス=23.94ドルと、昨年12月28日以来の高値を付けている。

サクソバンクのコモディティー戦略責任者、オーレ・ハンセン氏はこれについて「今、金だけが上昇しているわけではない。持続的な上昇の可能性が高まる」と述べた。

一方、プラチナは1.4%、パラジウムは1.6%それぞれ下落している。

ハンセン氏は「プラチナは金に対して相対的に安いが、今のところ出遅れている。金価格が安定すれば、プラチナも恩恵を受ける可能性が高い」と述べた。

金プラチナ・レシオは、新型コロナウイルスの流行で過去最高を記録した2020年3月以来の高水準にある。

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