新生児が死亡…出産した20代母、実家に遺棄 次に妊娠した子、自宅浴槽で出産…水中に沈めたまま「無抵抗、死を避けていない」 法廷で懲役7年を求刑 弁護士、水中出産の危険性を否定「子がわずかに動いた」死産の可能性を指摘

母親に懲役7年を求刑 新生児殺害の疑い=川越市

 自宅アパート浴槽の水中で出産した新生児を引き上げず、窒息死させ遺棄したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた、埼玉県川越市の無職の母親(28)の裁判員裁判の論告求刑公判が4日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。争点になっている新生児への殺人罪の成立について、検察側は新生児を放置したことで死亡したとして母親に懲役7年を求刑。一方弁護側は死産だった可能性などを指摘し、執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は14日。

 論告で検察側は、専門家などの証言を総合して考えても新生児が出生時に生きていた可能性が高いとした上で、水中で出産すれば死亡する危険性が高いことは明らかであるにもかかわらず、認識していた上で出産し放置し続けたとして「死を避けようとした事実がない」と指摘。無抵抗の新生児への行為は「残酷で悪質」と非難した。

 弁護側は、水中での出産行為自体の危険性を否定。母親が公判中、新生児についてわずかながら動いていたように見えたという趣旨の発言したことを引用し、健康的な新生児とは動きが異なるなどと指摘し「間違いなく生きて生まれてきたとは言えない」「新生児仮死だった可能性もある」などとした。

 起訴内容などによると、母親は2018年3月ごろ、自身が出産した新生児の遺体をスーツケース内に入れて春日部市内の実家に遺棄。さらに21年8月11日ごろ、川越市内の自宅浴室内で、浴槽に張った湯水の中で新生児を出産し、水中から取り上げることなく溺水させ窒息死させた上で、死体をリュックサックに入れるなどして自宅のクローゼット内に隠して遺棄したとされる。

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