「そこにしかない魅力生かそう」 田舎で起業するには、高城中でキャリア教育・和歌山

仕事について生徒らにアドバイスする山本将志郎さん(右奥)=和歌山県みなべ町滝で

 和歌山県みなべ町滝の高城中学校(大木尚美校長)でこのほど、キャリア教育の講演会があり、町内で梅加工販売会社を営む山本将志郎さん(30)が、田舎の魅力の生かし方について語った。1、2年生21人が聴講した。

 山本さんは実家が梅農家で、大学薬学部でがん新薬の研究をしたという経歴を持つが、梅産業を活性化させたいという思いから塩とシソだけで作る昔ながらの梅干しを製造販売する会社を設立。そこで働く若者が増え、現在の社員数は23人になっている。梅産地を守るため、増加する耕作放棄地の対策として、どんぐりから苗を育てて植樹する活動をしていることも、この日の講演で紹介した。

 これまでの経験から、仕事について「大学に行ってもやりたいことは見つからない。お勧めは中学生でも、高校生でも仕事をやってみること。100円でもいいから商品を売ってみることがいい。その際、ほとんどの大人が反対するが、自分で判断してほしい」とアドバイスした。

 田舎での起業について「都会はどこも一緒だが、田舎はそこにしかない資源がたくさんあり、その魅力を知っていることが仕事に生かせる」。さらに「起業して失敗したとしてもその後の人生には影響しないし、無駄にはならない。失敗しても全力で挑んでいれば、その過程が評価される」と語った。

 地方の農林水産業者は高齢者が多いため、SNS発信は全国的にも少ないことを挙げ、「今だったら注目される。やってみて」と呼びかけた。

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