アーセナルの冨安健洋、今週末の復帰を専門メディアが予想! 怪我の再発や駒不足の懸念が指摘されるも「SBの補強は優先事項ではない」

今季、ここまで負傷での欠場が計11試合に達しているアーセナルの冨安健洋。慢性化しているふくらはぎの筋肉トラブルが、ピッチに立てば高い安定感を誇る万能のDFの活躍を阻んでいる。

昨年12月31日のプレミアリーグ第20節フルアム戦で公式戦7試合ぶりにピッチに立つと、アジアカップに臨む日本代表に招集され、大会2戦目のイラク戦で後半から交代出場して、そこからは準々決勝イラン戦まで3試合でスタメンに名を連ねた冨安だったが、アーセナルに復帰してからは再び負傷者リストにその名が載り、5試合連続で欠場を強いられている状況だ。

それでも、状態は良化しており、第27節のシェフィールド・ユナイテッド戦(3月4日)前には、ミケル・アルテタ監督が「出場できる可能性はあるが、土曜日と日曜日の最後の練習で、待ちながら見守る必要がある。もしそこで良ければ、月曜日にプレーできるかもしれない」とコメント。結果的にはこの6-0の大勝を飾ったアウェーマッチでも冨安はベンチ入りしなかったが、復帰は近いことが窺え、サッカー専門メディア『football.london』は9日に行なわれる28節ブレントフォード戦での復帰を予想している。
日刊紙『Evening Standard』も、「冨安は昨年末のフルアム戦以来、アーセナルでプレーしていない。この試合の前後に負傷し、さらにその後はアジアカップのためにチームを離脱していた。アルテタ監督は先月、この多才なDFが国際試合でさらに軽微な問題を負ったことを確認した。冨安は最終的に、シェフィールド・U戦のメンバーから外れたものの、指揮官は『冨安の復帰は間近に迫っており、彼はすでにグラウンドで調整している。近いうちに、彼と一緒に戦えればと思う』と語った」と報じた。

順調にいけば、間もなくピッチ上で背番号18の雄姿が再び見られることになるようだが、チームとしては多くの負傷者を抱えている中で、この25歳の日本人DFには、継続してのプレーを望んでいることだろう。昨季も負傷者の続出(冨安も含む)で駒不足に陥り、マンチェスター・シティの追い上げで涙を飲んだ「ガンナーズ」は、リバプール、シティとの三つ巴となっている今季の覇権争いにおいて、雪辱を果たすことを強く願っている。 今季の冨安のポジションといえば左SBだが、定位置争いのライバルであるオレクサンドル・ジンチェンコも同じくふくらはぎの負傷で戦線離脱中であり、CB、SBとしてのプレーが可能なユリエン・ティンバーも膝を痛めているという状況にある。こうなると、新たな戦力の補強の必要性が高くなりそうだ。

米国のスポーツ専門サイト『The Athletic』は、今夏の移籍市場においてアーセナルがストライカーの獲得を優先するとされていると報道。これは、高い攻撃力で多くのチャンスを作りながらも、これを得点に結びつけられない試合が続いたからで、具体的にベンヤミン・シェシュコ(RBライプツィヒ)、ヴィクトル・ギョケレス(スポルティング)、エバン・ファーガソン(ブライトン)らの名前が獲得候補に挙げられている。

しかし、アーセナルが直近の5試合のうち4試合で大量得点を奪っていることもあり、今ではこの方針に疑問が生じているとされ、むしろブカヨ・サカの疲労を防ぐためのサイドプレーヤー、さらにはセントラルMF(候補はレアル・ソシエダのマルティン・スビメンディ)、そして「ジンチェンコと冨安が頻繁に負傷しているため」(同メディア)SBを含めた守備の人材の補強が必要なのではないかと指摘した。
ただ、最終的に同メディアは「昨年12月の得点力の落ち込みが示しているように、スイッチひとつでゴールが難しくなるという問題を抱えている」ことから、やはりストライカーこそが「アルテタ監督にとってのラストピース」と結論づけ、SBについては「優先事項ではない」として、冨安らが復帰さえすれば、強力な布陣を組めると見ているようだ。

その実力に何ら疑問はない冨安だが、昨季とは逆に、ここから重要な局面に突入するチームのために継続して役立つことができるのか。あてにならない戦力との見方がさらに強くなってしまうのか、存在感を高めてさらにその価値を高めるか、ここから正念場を迎えることになりそうである。

構成●THE DIGEST編集部

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