ウェンバンヤマのDPOY受賞にグリーンは「まったく賛同できない」異を唱える理由は「彼は若いし、チームもまだまだ」<DUNKSHOOT>

現地時間3月4日(日本時間5日、日付は以下同)、NBAは2月の月間最優秀新人賞を発表。イースタン・カンファレンスからはシャーロット・ホーネッツのブランドン・ミラーが、ウエスタン・カンファレンスはサンアントニオ・スパーズのヴィクター・ウェンバンヤマが、それぞれ2か月連続で選ばれた。

特にウェンバンヤマは同月、いずれもルーキー最多となる平均21.3点、10.7リバウンド、2.0スティール、3.9ブロックに4.5アシスト、3ポイント成功率41.3%(平均2.2本成功)と驚異的なスタッツを記録。

シーズン全体でも、4日終了時点で平均28.7分のプレータイムながら20.9点、10.2リバウンド、3.4アシスト、1.3スティール、3.4ブロックをマーク。スティールはリーグ全体でも13位タイ、ブロックでは同1位に君臨している。

224cm・95kgというサイズに240cmのウイングスパンを持つ20歳の大器は、新人王の筆頭候補なのは当然として、5日に米メディア『VEGAS INSIDER』に公開された最優秀守備選手賞(DPOY)の最新版オッズでルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)に次いで堂々2位にランクイン。
長い腕を駆使したディフェンスで強烈なインパクトを与えているウェンバンヤマは、試合を重ねるごとに成長を遂げており、すでに相手チームにとって大きな脅威となっている。

そんななか、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが5日に公開されたポッドキャスト番組『The Draymond Green show』で、ウェンバンヤマについてこう話していた。

「彼が最近の最優秀守備選手賞のオッズで2位に入っている。だが、これにはまったく賛同できないね。理由はあのチームのディフェンスがリーグ24位だからだ」

ウェンバンヤマが所属するスパーズは、4日を終えてウエスト最下位の13勝48敗(勝率21.3%)で、ディフェンシブ・レーティングはリーグ23位の117.3にとどまっている。『Basketball-Reference.com』でウェンバンヤマ個人のディフェンシブ・レーティングはリーグ3位(107.4)の高数値ながら、DPOYは個人成績だけでなくチーム戦績も加味されるアウォードだけに、グリーンの指摘はあながち間違いとは言えない。
オールディフェンシブチーム選出回数で同僚クリス・ポール(9回)に次ぐ現役2位の8回を誇るグリーンは、2016-17シーズンにDPOYを受賞。当時のウォリアーズはディフェンシブ・レーティングでリーグ2位の103.4を残し、その中心にいたグリーンが選ばれた。

とはいえ、DPOYは比較的ビッグマンが選出されるケースが多い。リバウンドやブロック、スティールのスタッツやリムプロテクターとしての役割を評価されがちだからだ。

一昨季はガードのマーカス・スマート(当時ボストン・セルティックス/現メンフィス・グリズリーズ)が選ばれたものの、直近6シーズンのうち5度はジャレン・ジャクソンJr.(グリズリーズ)、ゴベア(3度)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)というビッグマンが名を連ねている。
「彼は若いし、チームもまだまだ。リーグ24位のチームにいるヤツが最優秀守備選手賞になることを許しちゃいけない。俺は到底賛同できないし、(選出される)ラインには程遠い」とグリーンは言う。

1982-83シーズンに創設されたDPOYにおいて、ルーキーが受賞したケースは皆無。1985-86シーズンにウイングポジションのアルビン・ロバートソン(元スパーズほか)がキャリア2年目で選出されたとはいえ、若手が受賞するケースは少ないため、現状ではディフェンシブ・レーティングでリーグトップ(108.0)に立つウルブズのゴベアが本命と言えるだろう。

ただし、アウォードの投票はあくまでメディアが行なうため、チーム戦績よりも個人のパフォーマンスを重視した場合、ウェンバンヤマに票が集まる可能性はありそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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