宮藤官九郎による企画・監督・脚本の「季節のない街」が地上波で放送決定! 池松壮亮、仲野太賀、渡辺大知らが共演

テレ東系では4月5日からドラマ25「季節のない街」(金曜深夜0:42)がスタート。ディズニープラスで独占配信中で、企画・監督・脚本を宮藤官九郎が務め、主演・池松壮亮、共演・仲野太賀渡辺大知による話題作が地上波で放送開始される。

「季節のない街」の原作は、山本周五郎の同名小説。誰もがその日の暮らしに追われる、裕福とはいえない“街”を舞台に、弱さやずるさを隠さずにたくましく生きる、個性豊かな住人たちの悲喜を紡いだ物語だ。1970年に黒澤明監督が「どですかでん」のタイトルで映画化したことでも知られる不朽の名作。

そして、現在放送中の「不適切にもほどがある!」(TBS系)の脚本も手掛けている宮藤が、20代の頃からずっと切望していた企画で、テレ東とディズニーの共同製作によって実現したドラマ「季節のない街」は、2023年8月にディズニープラスで先行配信が始まると、「笑って、泣いて、考えさせられた」「全キャラがいとおしい!」「苦しくなるけど、クスッと笑える。人生のような全10話」「宮藤官九郎の最高傑作」「今、見るべき作品」など称賛の声が寄せられ、レビューサイト・Filmarksでも4.2点と高得点をマーク。宮藤自身も「紛れもなく、一番やりたかった作品で、これを世に出したら、自分の第2章が始まるような気がしています」と手応えを伝えている。

ドラマでは、傑作小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失い、この“街”にやってきた主人公がそこの住人たちの姿に希望を見つけ、人生を再生していく青春群像エンターテインメントとなっている。

池松が演じるのは、怪しげな男の指示で街に住む人々の暮らしぶりを報告する仕事を請け負い、ネコのトラと一緒に街に潜入する主人公・半助こと田中新助。仲野は、街の青年部を率いる、母親の愛情に飢えた承認欲求高めな“親思い”の次男坊・タツヤに扮(ふん)する。渡辺が、街の近所に住む酒店の息子で、好きな女の子目当てで街に出入りしているオカベ役を担う。

さらに、オカベが恋している街で一番内気なかつ子役を三浦透子、タツヤの母・しのぶ役を坂井真紀、「どですかでん」と叫びながら“見えない電車”を毎日1人で運転する六ちゃん役を濱田岳、六ちゃんの母・くに子役を片桐はいり、六ちゃんのよき理解者であり街を見守るたんばさん役をベンガルが務める。また、向かい合った仮設住宅に暮らす親友同士である2組の夫婦の、増田益夫役を増子直純(怒髪天)、その妻・光代役を高橋メアリージュン、河口初太郎役を荒川良々、その妻・良江役をMEGUMIが担当。ほかにも、皆川猿時、又吉直樹、前田敦子、塚地武雅、藤井隆、鶴見辰吾、岩松了など多彩なキャストが集結し、全員“訳あり&いわくつき”の個性豊かな住人たちを演じ、ドラマをより一層盛り上げる。

地上波放送に際して、主演の池松は「とてもうれしく思います。未見の方にも、もう見ていただいた方にもぜひ楽しんでいただけたらと思います。この街では、皆が同じ痛みや貧しさを知りながら、ただ隣り合って横並びに騒がしく暮らしています。倫理観はさほどないけど、互いに命をそっとつなぎ止め、互いの明日をつくりながら、忘れられることにささやかに抵抗しながらその営みを続けています。戦争や災害を繰り返すこの世界で、このドラマが誰かのささやかな楽しみになることを願っています」とコメント。

仲野は「地上波放送が決まったこと、大変うれしく思います!! 宮藤さんの下に最高のスタッフとキャストが集って、撮影したのが約1年前。仮設住宅で笑ったり泣いたり、踊ったりブチ切れたりした日々が懐かしいです。あの街にしかないカオスがとっても恋しいです」と振り返り、「ディズニープラスでは配信されていましたが、テレビでも気軽に、毎週楽しみにしてもらえればと思います! よろしくお願いします!」と熱く呼び掛けている。

渡辺も「環境や生活が日々変化していく中で、こんなに人間の『元』を感じさせてくれるドラマが見られるなんて。参加させてもらえて光栄です。毎話、魅力的なキャラクターたちが大暴れしています。このドラマが地上波で見られるのは今の時代だからこそとても意義のあることだと思うので、放送が待ち遠しくて仕方ないです。あの街のみんなが思いっきり生きているのを、ぜひ目撃してください!」とドラマの魅力を伝えている。

企画・監督・脚本の宮藤は「もともと30分の深夜ドラマを想定して作ったので、個人的には本来の形に近いのですが、あらためて、この作品を世に出そうと考え、力を貸してくださったディズニーさん、テレ東さんの心意気に深く感謝します。去年の今頃、極寒の茨城の廃校で2カ月半の撮影。黒澤明監督の『どですかでん』が大好きな僕にとって、寒い以外は至福の時でした。六ちゃんが、島さんが、ホームレス親子が、かつ子がそこにいる。仮設住宅で生活している。池松壮亮くん、仲野太賀くん、渡辺大知くんの“青年部”にまた会いたいと思っても、彼らはおろか、仮設住宅のセットすら存在しない。けど、映像にはしっかり残っている。大好きな『どですかでん』が二つになった感覚です。今年は元日から能登半島地震があり、新たに仮設住宅が建設され始めています。あらためて災害の恐ろしさに言葉を失うと同時に、この作品が今どのように受け止められるのか。ただ、触れないことが思いやりでは決してないし、逆境においても人間はたくましく、強く、同時に弱く、時に涙し、時に笑い、だからこそ人生は面白いという、山本周五郎さんの原作が持つ普遍的なメッセージは、発表から60年がたった今こそ、現代人を勇気づけてくれると信じています。まずは気楽に30分、1話完結の人情喜劇をお楽しみください」とドラマ化に込めた思いを語っている。

ドラマを手掛ける濱谷晃一チーフプロデューサーは「宮藤さんから『季節のない街』を、災害ですべてを失った人たちが暮らす仮設住宅でやりたい、という構想を聞いた時、震災、疫病、紛争など、さまざまなことが起きる世の中で、とても意義のある現代的なテーマになると思いました。と同時に、仮設住宅のオープンセットをテレ東ドラマで作れるのかな…と大きな不安に駆られました。しかし、ディズニーさんのお力添えのおかげで実現し、それが、自分が思い描いたよりもはるかに高いクオリティーで、素晴らしいキャストが集う作品になり、そして、テレ東からも皆さんにお届けできることがれしくてなりません。登場人物たちに起こったこと、起こることは、とても苦しく、登場人物たちも常識を逸脱したような人ばかりです。ただ、それを重く届けるのではなく、毒はそのままに、ゲラゲラ笑えて、感動の涙を誘う、これが宮藤さんならではの人間讃歌なんだと、最終回までを通して痛感します。なんとテレ東、無料です。これを機会に見てください! ディズニープラスさんでは、全10話一気見できます! 二度、三度見ると、この世界の魅力が伝わると思いますので、ぜひご覧ください!」とアピールしている。

なお、宮藤と共に監督を務めるのは、映画「いとみち」(2021年)などの横浜聡子氏、映画「ドライブ・マイ・カー」(21年)に監督補として参加した渡辺直樹氏。音楽は「あまちゃん」「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(ともにNHK)など宮藤脚本の作品のほか、「エルピスー希望、あるいは災いー」(フジテレビ系=関西テレビ制作)の音楽も担当した大友良英氏。撮影には映画「ある男」(22年)、「万引き家族」(18年)などの話題作で活躍する近藤龍人氏。美術には映画「すばらしき世界」(21年)などの数多くの作品に携わる三ツ松けいこ氏、衣装には多くのアーティストのスタイリングを担当し、宮藤作品にも多数関わる伊賀大介氏が参加している。

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