震災の記憶継承へ9日コンサート 被災の請戸小ピアノで祈りの音 福島県南相馬市

請戸小のピアノでコンサートを開く吉田さん

 東日本大震災で被災した福島県浪江町の請戸小のピアノを、浪江町出身のピアニスト吉田昂城(こうき)さん(28)が奏でるコンサート「祈り」は9日午後2時から、南相馬市民文化会館ゆめはっとで開かれる。吉田さんは「クラシックを通して相双地方の活性化に役立てたい」と意気込んでいる。

 吉田さんは旧浪江中3年時に被災し、東京電力福島第1原発事故のため避難生活を送った。3歳からピアノを学んでおり、ロータリークラブ(RC)の支援を受け17歳の時にオーストリアのアントン・ブルックナー音楽大に入学。その後、ウィーン国立音楽大を経て現在は南相馬市を拠点に活動している。

 コンサートは自ら主催し、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館に展示されている請戸小のピアノをゆめはっとに運んで演奏する。郡山交響楽団と共演しハイドンやモーツァルトのピアノ協奏曲などを披露する。

 震災から13年を前に吉田さんは「犠牲者への追悼と未来への希望を込めタイトルを『祈り』に決めた。震災の記憶を継承するコンサートにしたい」と話している。

 コンサートの入場料は4千円。予約専用メール(pianoconcert.inori@gmail.com)で受け付けている。

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