ノルウェー政府系ファンド、新興国企業に女性取締役の登用求める

Gwladys Fouche

[オスロ 6日 ロイター] - ノルウェーの政府系ファンドは、投資先の新興国企業に対し女性の取締役を増やすよう求める。

これまでは欧米企業を中心に女性の登用を求めてきたが、こうした方針を初めて新興国企業にも適用する。幹部がロイターに明らかにした。

同ファンドは運用資産1兆6000億ドルで、世界最大の政府系ファンド。世界の約8800社の株式を保有している。

ESG(環境・社会・ガバナンス)の分野でさまざまな問題を提起し、2021年以降は欧米企業に対し、女性取締役の増員を要求。女性取締役の比率が30%未満の場合、目標の設定を検討するよう求めている。昨年にはこの方針を日本企業にも拡大した。

ロイターが入手した6日公表予定の新たな投票指針によると、今後はインド、南アフリカ、ブラジル、エジプトなどの新興国企業にもこの方針を適用する。

現在、女性取締役がいないカタールの通信会社オーレドゥやインドネシアの天然ガス会社ESSA、ブラジルの物流会社Hidrovias do Brasilなどが影響を受ける可能性がある。

先進国よりも女性取締役候補の少ない国では、同ファンドの方針が課題になる可能性がある。

同ファンドのカリーヌ・スミス・イヘナチョ最高ガバナンス・コンプライアンス責任者はロイターとのインタビューで、取締役会のジェンダー・ダイバーシティー(性別の多様性)には21年以降「大幅な改善」が見られるが「一部の先進国市場や新興国市場では女性の進出が遅れている」と指摘した。

新興国企業に男女各1人以上の取締役がいない場合、同ファンドは年次株主総会で、指名委員会会長(指名委員会がない場合は取締役会会長)の選出に反対票を投じる。

先進国企業については、取締役会に男女各2人以上の取締役がいない場合、引き続き反対票を投じる。

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