【連載コラム】第54回:2024年シーズンの新人王候補たち ナ・リーグはドジャース・山本由伸が大本命

写真:ナ・リーグ新人王の期待がかかる山本由伸 ©Getty Images

日本時間3月20日に韓国・ソウルで行われるドジャース対パドレスの開幕戦まであと2週間となりました。今週から3週にわたって主要アワード(MVP、サイ・ヤング賞、新人王)の行方を展望していこうと思います。

まずは新人王争いから。アメリカのブックメーカーで紹介されているオッズを見ると、ア・リーグは「ビッグ3」の争いが予想されています。なかでも最有力候補と言えるのは昨季終盤にメジャーデビューし、ポストシーズンでも活躍したエバン・カーター(レンジャーズ)でしょう。現在21歳のカーターは昨年9月にデビューすると、23試合で打率.306、5本塁打、12打点、3盗塁、OPS1.058を記録。ポストシーズンでも全17試合に出場して打率.300をマークしました。オープン戦でもここまで7試合に出場して打率.389、2本塁打、OPS1.178と結果を残しており、開幕からレギュラーとして起用される今季はどんな成績を残すか非常に楽しみです。

対抗馬に挙げられているのはメジャー未経験の2人。現在20歳のジャクソン・ホリデイ(オリオールズ)は2022年ドラフト全体1位指名でプロ入りし、各媒体のプロスペクト・ランキングで全体1位に選ばれている超有望株です。通算316本塁打の強打者マット・ホリデイの息子としても知られ、昨季はマイナーA級からAAA級まで駆け上がり、4階級合計で打率.323、12本塁打、75打点、24盗塁、101四球、出塁率.442、OPS.941をマークしました。オープン戦でも21打数7安打(打率.333)と実力を発揮しており、開幕ロースターに抜擢される可能性もあります。

現在22歳のワイアット・ラングフォード(レンジャーズ)は昨年のドラフト全体4位指名でプロ入り。ルーキー級からスタートしてA+級、AA級、AAA級と瞬く間に駆け上がり、44試合で打率.360、10本塁打、30打点、OPS1.157と打ちまくりました。オープン戦でも6試合で打率.353、3本塁打、7打点、OPS1.332と活躍中。昇格のタイミング次第では、同僚のカーターと熾烈な新人王争いを繰り広げることになるかもしれません。

一方のナ・リーグは山本由伸(ドジャース)が大本命です。日本球界で圧倒的な数字を残し、12年3億2500万ドルの超大型契約でメジャー移籍。オープン戦初登板で見事なピッチングを披露し、実力を証明しました。1年目から中4日でフル稼働することは考えにくく、デーブ・ロバーツ監督も中5日以上の間隔で登板させる方針を明らかにしているため、労働量だけが懸念材料。昨季の新人王投票で2位となった千賀滉大(メッツ)の29先発&166回1/3という数字が1つの目安になるでしょう。規定投球回をクリアして防御率2点台をマークすれば、突出した成績を残す打者が現れない限り、山本が新人王を手にするはずです。

ブックメーカーのオッズを見ると、山本のライバルとなりそうなのはイ・ジョンフ(ジャイアンツ)、ノエルビ・マルテ(レッズ)、ジャクソン・チョーリオ(ブリュワーズ)、ジョーダン・ローラー(ダイヤモンドバックス)といった面々。今永昇太(カブス)も上位に名を連ねています。イ・ジョンフはもちろんのこと、マルテとチョーリオも開幕からレギュラーとして起用される見込みのため、彼らが期待通りの活躍を見せれば、山本にとっては新人王争いの強力なライバルとなるでしょう。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

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