「最良のオプション」「失望」 久保建英、CL敗退を喫したパリSG戦のプレーに現地メディアからは様々な評価

現地時間3月5日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド・オブ16のセカンドレグで、レアル・ソシエダはパリ・サンジェルマンに1-2で敗れ、合計スコア1-4で敗退を喫している。

ソシエダにとって逆転での次ラウンド進出のためには2点差以上での勝利が求められたホームゲームだったが、15分にキリアン・エムバペの巧みな技で先制を許すと、56分にも左サイドを抜け出したエムバペにGKアレックス・レミロの牙城があっさり崩され、反撃は89分のミケル・メリーノのゴールによる1点止まり。これで、直近の4試合は1分け3敗(1分けはコパ・デル・レイのマジョルカ戦でPK戦負け)となった。

定位置の右ウイングで先発出場を果たした久保建英は公式戦2試合ぶりのプレーで、積極的に敵陣に攻め入って奮闘したが、スタッツではボールタッチ41回、シュート1本(枠外)、パス23本(成功14本)、キーパス3本、ドリブル4回(成功なし)、タックル5回(成功1回)ファウル3回、警告1回と、強豪相手に苦戦を強いられた印象である。
しかしUEFA(欧州サッカー連盟)の公式サイトは、「久保は最初の45分間で、対峙するヌーノ・メンデスに幾つかの問題を引き起こした。11か月ぶりの先発出場であるメンデスにとって、久保はマークするにはおそらく理想的な人物ではなかった」と、マーカーとの対決においては優位に立ったことを強調した。

また、「ロビン・ル・ノルマンはアウェーチームの守備を突破し、久保にボールを送りたいという意気込みを感じさせた。これはラ・レアルが続けて示さなければならないものだ」と日本人選手の重要性を指摘し、また久保本人については「ホストチームにとって、彼は活発だった」との表現で、その有益性を示している。

現地メディアの報道では、マドリードのスポーツ紙『MARCA』が、「パリSGに圧倒され、得点力にも欠けたソシエダにおいて、最良のオプションはハーフタイム直前に良いクロスシュートを放った久保だ。(同じFWの)ミケル・オヤルサバルが不調で、シェラルド・ベッカーもアシュラフ・ハキミに抑えられる中、この日本人選手はソシエダの攻撃に“味”を加えた」と伝えた。 一方、『AS』紙は「ラ・レアルは相手を追いかけるのに精いっぱいで、プレーを組み立てるのに非常に苦しんだ。ハーフタイム前には久保が25メートルのシュートを見せたが、それは個人の素晴らしい才能によるもので、チームとしての組織プレーは破綻していた」と記述。また、個別評価の記事では「久保は非常に活発で、臆することなく全力でプレー。前半終了間際にはわずかに外れるシュートを放ったが、その後は徐々に影が薄くなっていった」と、その90分間を評している。

続いて、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、ライブ実況の記事で「ソシエダは、久保とメンデスのマッチアップにさらに力を入れる必要がある」として、こちらも背番号14のウインガーがチームの主武器であることを示したが、個別評価では「失望」との厳しい表現で、「良くなかった。敵陣ペナルティーエリア周辺での判断ミスが目立った。メンデスを振り切るのに苦労し、左足でゴールの枠にわずかに触れるシュートを放った」と総括した。

『SPORT』紙は、「ソシエダは前半にほとんど反撃できずにいたが、終了間際に久保がクロスシュートでパリSGに“警告”を発した。ホームチームが調子を上げたのは、この最後の瞬間だけだった」と綴り、またこの惜しい左足シュートを「この夜のソシエダのベストシュート」と称賛。一方で、「久保とオヤルサバルのコンビネーションは良かったが、パリSGはひとつの抜け穴も残さなかった」として、アウェーチームの堅守に苦しんだことも伝えている。
日刊紙『El Pais』は、「イマノル・アルグアシル監督率いるチームにとって状況は上手くいかなかったが、その中で日本人選手はボールを受けて長く動かすことに最も貢献できる選手のひとり」「ソシエダの攻撃は主に久保に頼っているが、彼は自分のプレースタイルを上手く発揮できなかった」と、こちらも対照的な印象を綴った。

地元バスクの日刊紙『noticias de Gipuzkoa』は、10点満点の採点で他の多くのチームメイトと同様に「4」という低評価を下し、寸評でも「この試合の大きな失望のひとつ。彼は違いを生み出すために選ばれた選手だったが、マーカーに2枚目のイエローカードをもたらすことはできず、プレッシャーを与えることもなかった。非常に難しいゴールを狙ったが、成功しなかった」と厳しい内容となっている。

最後に、サッカー専門サイト『El Desmarque』は、レアレ・アレナでの歴代最多観客数となった3万9336人の前で披露された久保のプレーについて、「彼にとって最高の夜ではなく、ボール扱いで正確さを欠く場面もあったが、それでもアンデル・バレネチェアが登場(61分)するまでは最もチームに影響を与える存在だった」とポジティブな部分にも言及したが、採点は及第点に満たない「5」を与えた。

構成●THE DIGEST編集部

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