トランプ氏、希代の大衆扇動家 政権奪還へ全身全霊

スーパーチューズデーのイベントに出席しポーズを取るトランプ前米大統領=5日、フロリダ州パームビーチ(ロイター=共同)

 トランプ氏は「米国を再び偉大に」というスローガンの頭文字から「MAGA(マガ)」と呼ばれる熱狂的な支持者を持つ、希代の大衆扇動家だ。大統領だった21年に議会襲撃を引き起こしたとして起訴されたことを逆手に取り、法廷闘争を劇場化して政権奪還へ全身全霊を注ぐ。

 ニューヨークの裕福な家庭で育ち、親の不動産業を継いで事業を拡大した。テレビ番組司会者として世間に知られるようになり、国境の「壁」建設とエスタブリッシュメント一掃を訴え、16年大統領選で当選した。

 大統領就任後もツイッター(現X)を通じて発信し、民主党や自身に歯向かう政敵には罵詈雑言を浴びせるなど型破りなスタイルを貫いた。政治の現状に不満を持つ労働者の心をつかむ一方で、米社会の分断を助長したとも評される。

 故安倍晋三首相とは親交を深めたが、「米国第一主義」を掲げて同盟国を軽視し溝も深めた。大統領在任中、NATO加盟国の首脳に対し、軍事費をきちんと負担しなければ米国は防衛せず「むしろ好きに振る舞うようロシアをけしかける」と伝えたと豪語した。

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