伝統野菜ヤブデークニ 5.2キロで1位 沖縄・名護市で農事奨励会 「若い人は作り方を知らない」

伝統野菜のヤブデークニ部門で1位になった東江新次郎さん(左から3人目)と2位になった大城勝章さん(左)ら屋部大島農事奨励会の会員=2月18日、名護市の屋部区公民館

 【名護】名護市の屋部大島農事奨励会(呉屋信竹会長)は2月18日、作物を展示する農事奨励会を同区公民館で開いた。明治時代から伝わる伝統野菜「屋部大根(ヤブデークニ)」部門では、5.2キロを出品した東江新次郎さん(90)が1位に輝いた。(玉城学通信員)

 公民館のテーブルの上には、会員らが丹精込めて育てたシマナやキャベツ、サトイモなど27品目の野菜が並んだ。

 東江さんは「ヤブデークニを栽培しようにも若い人は指導を受けておらず、作り方を知らない。今後は会を挙げた後継者育成が課題だ」と話した。

 2位の大城勝章さん(79)は、丸みがあり横に大きくなるヤブデークニの特徴や、1871年に同区で栽培が始まり現在6人が従事していること、「アガヤー」「ワインキャー」の2種類あり、毎年10月初旬に種をまくことなどを説明した。

 ハワイチンヌクやジャガイモを出品した吉元義彦さん(70)は「ハワイチンヌクはサトイモのこと。3年前から栽培している」と語った。玄米を出品した儀部直子さん(80)は「チンヌクはかつて産後に欠かせない野菜だった。私もよく食べていた」と振り返った。

 この日、農事奨励会会員は、会を盛り上げ、ヤブデークニを絶やさないため、後継者育成の必要性と栽培方法や作物の展示時期の見直しについて話し合った。

 自身もパパイアやキャベツを出品した呉屋会長は「農事奨励会は参加者や出品者が減り、年々寂しくなっている。来年からはもっと頑張る必要がある」と意気込んだ。

ワインキャー(手前)とアガヤー

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