エジプト、IMF支援総額90億ドル超 通貨切り下げ・緊急利上げも

Nafisa Eltahir Nayera Abdallah

[カイロ/ドバイ 6日 ロイター] - エジプトは6日、現行30億ドルとなっている国際通貨基金(IMF)の支援プログラムを80億ドルに拡大することで合意に達した。

同国の中央銀行はこれに先立ち、600ベーシスポイント(bp)の緊急利上げを実施するとともに、エジプトポンド相場を市場原理に委ねる方針を示した。

政府によると、持続的な環境に関する12億ドルの融資を受けるため、IMFからの支援総額は90億ドル以上になる。これは一部アナリストが予想していた額の下限に近い水準だ。

エジプトポンドはここ数カ月の防衛水準1ドル=30.85ポンド付近から急落。50ポンドを突破し、これまでの記録をはるかに超える水準まで下落した。終値は49.4ポンドだった。

為替レートの柔軟化は投資家の信頼を回復するために重要と考えられており、IMFも求めていた。

エジプトは過去に為替レートを柔軟化する方針を示したが、エジプトポンドが下落する局面では相場を入念に管理していた。

アナリストは、国家と軍の広大な経済権益の削減など、これまで避けられてきた構造改革へのコミットメントには疑問が残るとしている。

中銀は金融引き締めを加速し、基調インフレ率の低下を確実にするため、翌日物貸出金利を28.25%に、翌日物預金金利を27.25%に引き上げた。

「円滑な移行を確実にするため、引き続き名目アンカー(目標)としてインフレ率をターゲットにし、為替レートが市場原理で決まることを認める」と表明。「為替レートの統一は、外貨の蓄えの減少を促すため、極めて重要だ」と述べた。

中銀はこれまでインフレ目標を掲げる一方、為替レートの管理も目指してきた。エジプトポンドは過去1年、1ドル=30.85ポンドで固定されていた。慢性的な外貨不足の中、ポンドの価値を維持することが狙いだった。

外貨不足が深刻化した2022年初め以降、エジプトポンドは一連の切り下げで対ドルで3分の2以上下落している。

エジプトは2月下旬、アラブ首長国連邦(UAE)がエジプトの都市開発などに350億ドルを投資すると発表。その後は、闇市場でエジプトポンドの売り圧力が和らいでいた。

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