ドイツ凱旋でも終盤10分間の出場…ラツィオで「全く上手くいっていない」鎌田大地について古巣の地元メディアがブンデス復帰の可能性を示唆!

現地時間3月5日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド・オブ16のセカンドレグで、バイエルンとラツィオの一戦はホームチームである前者が3-0で勝利し、合計スコア3-1と逆転で準々決勝進出を果たした。

ハリー・ケインのドッペルバック(2得点)とトーマス・ミュラーのヘッド弾で勝負がついた一戦は、ミュンヘンのアリアンツ・アレナが舞台となったが、ラツィオのクラブ専門サイトである『LA LAZIO SIAMO NOI.IT』は、試合前にこのスタジアムの大型ビジョンで「マウリツィオ・サッリ監督率いるアウェーチームの象徴として鎌田大地の映像が流された」ことに注目した。

「とりわけ、ラツィアーレの注目を集めた」というこの “人選”について、同メディアは「これには現実的な理由がある。ローマでの鎌田のパフォーマンスは多くの場合で望ましいものではないが、ドイツでは全く違った。フランクフルトのユニホームを着た彼は、しばしばチームの主役となり、ミュンヘンの人々もそのことをよく知っている」として、彼の過去のバイエルン戦での活躍ぶりを紹介している。
このように、ドイツ王者にとっては脅威を感じさせる存在だった鎌田だが、今回のリターンマッチではルイス・アルベルトに代わって、公式戦4試合ぶりの出場を果たしたものの、ピッチに立った時にはすでに試合は80分を過ぎており、短い時間の中で存在感を示すことはできなかった。

現地メディアの多くは、個別評価においても彼に対する言及や採点はなしに終わっているが、日刊紙『Il Giornale』は10点満点の採点で及第点に満たない「5」を与え、寸評では「この日本人選手は、ドイツでは最高のパフォーマンスを発揮したものの、今季はほとんど上手くいっていない」と、バイエルン戦だけでなく、シーズン全体について酷評。また、スポーツ紙『Corriere dello Sport』は、「ブンデスリーガに慣れていた日本人選手はわずかな時間、ピッチに登場した」とだけ伝えている。

ドイツ凱旋はあまりに寂しいものに終わった鎌田だが、ここまでラツィオで苦戦が続いている彼に対して、古巣フランクフルトの地元紙『Frankfurter Rundschau』が注目。「鎌田のラツィオでの降格……次の章が始まる」と題した記事で、かつての中心選手の去就について言及した。 同メディアは、「フランクフルトのヨーロッパリーグ優勝(2021-22シーズン)のヒーローであり、同クラブにとって過去数年間で最も重要な選手のひとり」である鎌田が、長い葛藤の末に昨夏、契約満了とともに退団し、ラツィオに加入したものの、「ローマの首都での27歳は、全く上手くいっていない」と綴り、厳しい現状について以下のように紹介している。

「フランクフルトでは179試合に出場して40得点33アシストを記録した彼は、ローマではレギュラーでなく、26試合出場で1得点1アシストという貧弱な成績に止まっており、ドイツ時代には3000万ユーロ(約49億円)あった市場価値も2000万ユーロ(約32億6000万円)と大きく減少してしまっている」

このような苦境にある鎌田には、「ブンデスリーガ復帰の噂が流れている」と同メディアは伝え、「彼に興味を示しているのはフランクフルトではなく、ボルシアMGである」として、複数の現地メディアが、すでに鎌田側とクラブの間で最初の話し合いが行なわれたことを報じていることも紹介している。
「ボルシアMGでは、同胞の板倉滉、福田師王と対面することになる」としながらも、「デュッセルドルフの田中碧もボルシアMGとの契約に迫っているといわれ、そのことが鎌田との交渉の際に考慮される可能性がある」と同メディアは指摘。ただ、鎌田の去就については「彼がなぜ移籍を考えるか、その理由は明らかだ」として、現状から見れば今夏に新天地を求めるのは確実と見ているようだ。

フランクフルトでも1年目は全く振るわず、ベルギーのシント=トロイデンでのレンタル期間を経て、復帰後にブレイクしたという過去を持つ日本代表MFは、果たしてイタリアでの挑戦を1シーズンで終えてしまうのか。残りのシーズンでの出場の有無やパフォーマンス同様、移籍市場での動向も要注目である。

構成●THE DIGEST編集部

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