新型コロナ、群馬県内初確認から4年 観光回復「想定以上」 融資返済も本格化

 新型コロナウイルス感染症の患者が群馬県内で初めて確認されてから7日で4年となった。医療機関での診察や入院は、ほぼ「平時」の体制での受け入れに移行。昨年5月に感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」となって以降、国は病床確保や治療費の補助などを段階的に縮小し、3月末で全廃する。経済や文化活動も平常に戻りつつあるが、コロナ下で受けた融資の返済や伝統芸能の継承といった課題も表面化している。

 「重症化リスクが少なく、平時に近い体制で受け入れている。インフルエンザとほぼ同じ扱いになってきた」。県医師会の須藤英仁会長は、県内の医療の現状をこう受け止める。

 国は3月末で入院費や治療薬代の補助、医療機関への病床確保料など、一部継続していた公費支援を全て廃止し、通常の医療体制に移行する。

 重症化しやすい高齢者向けの福祉施設は、一定の警戒を続ける。特別養護老人ホーム「長寿荘」(高崎市)の担当者は、「行政の補助が減る中、消毒など感染対策費の負担は続くので運営は厳しい」とこぼす。

 経済では観光客の回復が目立つ。草津温泉のある草津町の本年度の入り込み客数は2月で、過去最多だった2019年度の327万人にほぼ並んだ。草津温泉観光協会の担当者は「5類移行後、想定以上に早いペースで戻っている」と実感する。インバウンド(訪日客)はコロナ前に多かった中国や韓国などに加え、欧米からも増えたという。

 一方、県内中小企業の経営は、原材料やエネルギー価格の高騰が影を落とす。コロナ下で始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済も本格化。県は猶予のための借り換えを含めた新たな制度融資を昨年4月に設けた。1月末までの融資は2242件、407億円に上り、新年度も継続する予定だ。

 文化面では、コロナ下で継承が危ぶまれた祭りや伝統行事が復活してきた。渋川市で江戸時代から続く津久田人形芝居の桜座は昨年10月、生誕300年祭を開き、約800人が来場した。津久田人形操作伝承委員会の狩野達雄委員長(75)は、「今後の継承と、伝統芸能による地域活性化への思いを強くした」と手応えを口にする。1月には新たに地元小学校での出前授業も始めた。

 県教育文化事業団の昨年8月の調査で、本年度に祭りや行事を開催するとした県内の伝統芸能団体は、回答した152団体の8割ほど。中止や延期が大半だった21年度の前回調査に比べ、再開が進んだ。

 ただ、回答数は前回より61団体減。事業団の担当者はコロナ下で活動が途絶えた可能性を指摘し、「将来につながる取り組みの支援を検討したい」と話した。

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