東京・北区/芥川龍之介記念館に24年度着工、居宅を忠実に再現・26年度開館へ

東京・北区は小説家の芥川龍之介にちなんだ「(仮称)芥川龍之介記念館」の建設に2024年度着手する。同記念館は18年に計画検討に着手し、20年度にはアジア航測に業務委託して基本・実施設計が完了。ただ新型コロナウイルスの感染拡大などを踏まえ、着工を延期していた。建物は計画地にあった芥川の旧居を忠実に再現。着工後は25年度の竣工、26年度の開館を目指す。
24年度予算案に関連経費2億46百万円を計上した。
計画地は田端1の20の9(敷地面積290平方メートル)。JR山手線田端駅北口に近接する。芥川は1914年から亡くなる27年まで計画地に居宅を構えた。以降は遺族が住んでいたが2017年に売却されることになり、区が18年に土地を取得した。
記念館は耐火性や耐震性を考慮してS・RC造を採用。2階建て延べ約200平方メートルの規模となる。材料や色彩で最大限工夫し、当時の内外装を再現する。
館内には▽書斎復元▽展示公開▽交流・憩い-といったエリアを設ける。書斎復元エリアは調査研究を踏まえ、書斎の内装や蔵書、生活用品などを再現。来館者が当時の生活を五感で体感できるようにする。
展示公開エリアではパネル展示や映像展示を使い、芥川の経歴や作品を紹介。縁側は交流・憩いエリアに充て、飲み物や軽食を提供する。ミュージアムショップも開設し、オリジナル商品を販売する。
24年度にはクラウドファンディングも実施して事業費の一部を賄う。区文化施策担当課の担当者は「文学ファンや研究者など多様な人が集まり、憩えるような場にしていきたい」と話している。

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