JR長尾駅周辺(大阪府枚方市)/3地区でまちづくり検討会発足、事業協力者募集へ

大阪府枚方市のJR学研都市線・長尾駅周辺で新たなまちづくりに向けた動きが加速している。多様な都市機能を備えた広域拠点を形成しようと、商業・居住や福祉、産業機能などの導入を目指す。土地区画整理事業の導入を想定している。2月までに長尾駅東地区など3地区でまちづくり検討会が相次いで発足しており、2024年度に事業協力者の募集手続きを行い、25年度にも土地区画整理準備組合を立ち上げる見通しだ。
同駅は市東部に位置する。市は22年9月に新たな街づくりの可能性のある市街化調整区域の約95ヘクタールを対象に「長尾駅周辺地区まちづくり構想」を策定。地権者と共に東部地域の拠点にふさわしいまちづくりを推進している。
地区内は約80%が田畑や山林などで、約15%は公益施設や商業施設、宅地などに利用されている。周辺は都市計画道路や府道の整備が進んでいるものの、このままでは無秩序な市街地の拡大が懸念されるため、民間企業のノウハウを生かしながら計画的にまちづくりを進める。
まちづくり組織が発足したのは、長尾駅東地区(約6・2ヘクタール)のほか、同駅北東側の長尾播磨谷地区(約29・8ヘクタール)、その北側の長尾荒阪地区(約40・7ヘクタール)の3地区。昨年12月から2月にかけて設立総会が開かれ、規約の制定や対象区域を決めたほか、活動方針や事業協力者の募集について議決した。
今後は土地区画整理事業の実現を目指し、24年度に選定予定の事業協力者と共に導入機能や土地利用計画などを検討。25年度にも土地区画整理準備組合を設立したい考えだ。市も計画的なまちづくりに向けて支援する。
構想によると、まちづくりの方針に▽広域拠点にふさわしい計画的なまちづくりの実現▽自然環境に配慮した都市環境の形成-などを掲げ、公民が連携しながら都市機能を集積し、緑地などを残すことで脱炭素社会に貢献する。
エリア内には4ブロックを設定。今回の長尾駅東地区が入るAブロック(約14ヘクタール)は駅に近接する利便性を生かし、商業・居住と自然環境ゾーンを計画。JR線北側の牧野長尾線西側のBブロック(約16ヘクタール)は医療・商業と居住・農業、自然環境の各ゾーンを形成する。Bブロックを挟んだCブロック(約25ヘクタール)は既存の文教施設や農地などに配慮しながら地域のにぎわいを創出する。長尾播磨谷地区はBブロックの一部とCブロックの全域が対象になる。
最も北側のDブロック(約40ヘクタール)は新名神高速道路のアクセス道路となる長尾家具町線を活用し、産業集積や文教ゾーンを形成。既存の福祉施設にも配慮した土地利用計画を想定している。

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