オリックスの“茶野ルート”、再び? 四国からやってきた「045」河野聡太の躍動にファン熱視線

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育成内野手がオープン戦初出場で2の2

侍ジャパンの2024年初陣を夜に控える京セラドーム大阪で行われたオリックス-中日のオープン戦は1-1で引き分け。オリックスは9回裏に二死走者なしから連打でサヨナラのチャンスを作ったが、あと一本が出なかった。

この試合でファンから熱い視線を浴びたのが、6回表の守備から途中出場したオリックスの育成ドラフト5位ルーキー・河野聡太だ。

九産大九産高から西日本工業大を経た後、四国アイランドリーグplusの愛媛からNPB入りの夢を叶えた23歳の内野手。この日は遊撃手として途中出場すると、一死二塁で迎えたこの日の初打席は高く弾むゴロがショートの正面へ。しかし、二塁に走者がいたこともあって相手の遊撃手がやや待たされる格好での捕球となると、その間に快速を飛ばして一塁を駆け抜けた。必死の送球との競走に勝ち、実戦での初安打を記録して見せる。

すると9回、二死一塁で回ってきたこの日の2打席目では祖父江大輔が投じた低めの変化球をうまく拾い、右中間に落とす安打。二死一・三塁とサヨナラのチャンスを拡大した。

直前に筑後で行われたソフトバンクとの2試合では快音が響かなかった中、この日は途中出場から2打数2安打。一軍の首脳陣の前でインパクトを残した。

独立リーグ・四国からやってきた3ケタ番号の生きのいい選手と言えば、オリックスではちょうど1年前のこの時期に猛烈なアピールを見せ、開幕前の支配下昇格だけでなく開幕スタメン入りまでつかみ取った茶野篤政が思い起こされる。 現にSNS上では「第2の茶野」「茶野二世」として期待をかけるファンの声も多くあがっており、ここからのさらなる躍動が待たれる。

“先輩”茶野は1年で年俸が約9倍に

茶野は中京高から名古屋商科大を経て、四国IL・徳島から育成ドラフト4位でオリックスに入団。1年目のオープン戦では10試合の出場で打率.273、出塁率.304という結果を残し、開幕が迫る3月24日に支配下登録を勝ち取った。

開幕戦は「8番・右翼」でスタメン入りを果たし、4月上旬から6月にかけては1番を任される機会も増加。7月に入ると月間打率.056と苦戦を強いられ、ファームで再調整する時期もあったが、1年目から91試合に出場。打率は.237、プロ初本塁打となった1本は満塁弾で、計23打点をマークした。

オフの契約更改では1600万円アップの年俸2100万円(金額は推定)でサイン。育成契約を結んだ際の年俸は240万円だから、たった1年で約9倍という大きなステップアップを遂げたことになる。

チーム内で直近にこれだけの成功例があるだけに、河野への期待が膨らむのも自然なことだろう。ただし、チーム内にライバルの多い内野手という点は茶野と異なるところで、加えてこの試合でも佐藤一磨や井口和朋、才木海翔といった育成投手が続々登板。こちらも限りある支配下のイスを目指してアピールを続けているだけに、このサバイバルを生き残ることができなければ2ケタの背番号には手が届かない。

シーズン開幕まで残り3週間と数日。限られた期間でより大きなインパクトを残し、“茶野ルート”を辿っていくことができるか。「045」のアピールに注目したい。



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