インスパイア元は愛娘とテイラー・スウィフト!? 祝・誕生日マシュー・ヴォーン最新作『ARGYLLE/アーガイル』の意外すぎるアイデアひらめき秘話

ブライアン・クランストン、クラウディア・シファー、マシュー・ヴォーン『監督『ARGYLLE/アーガイル』© Universal Pictures

監督自身が解き明かす『ARGYLLE/アーガイル』制作秘話

『キングスマン』『キック・アス』 シリーズで知られる奇才マシュー・ヴォーン監督の最新作にして、痛快でスタイリッシュなスパイ映画『ARGYLLE/アーガイル』が現在、全国で絶賛公開中。超豪華キャストを招き、ヴォーン監督の独特過ぎる感性と演出で描き出したファンタジック・アクション・エンターテインメントには、SNS等でも絶賛の声が多く寄せられている。

本日、3月7日に53歳の誕生日を迎えたマシュー・ヴォーン監督。“奇才”と呼ばれるにふさわしいアイデアと感性で、キレ味もスピード感も憎らしいほどに観客のツボを突いてくる独特の演出を極め、センセーションを巻き起こし続けている。

年を重ねるごとに常に“新しい”を更新し続けるヴォーン監督だが、らしさ全開で贈るポップでクレイジーな最新作『ARGYLLE/アーガイル』の構想の出発点、かつ創作へのインスピレーションをもたらしたのは、なんと当時10歳と15歳だったヴォーン監督の<2人の娘>と<テイラー・スウィフト>という意外すぎる事実が判明。

このたび、“ヴォーン監督節”を余すことなく発揮し唯一無二のアイデアがスクリーンで豪快に表現されるまでの制作秘話を、監督自身が解き明かしてくれた。

「俺だって娘たちが夢中になるような映画を撮りたい!」

2020年に世界が経験した未知のパンデミック。あらゆるものが文字通り封鎖された時間のなかで、「ロックダウンは彼女たちが映画に触れ合う良い機会」と考えたヴォーン監督が、2人の娘たちのために映画鑑賞会を開いたときのことだ。ヴォーン選り抜きの名作を娘たちと一緒に鑑賞するという、かけがえのない時間を楽しんでいたが、その中のひとつ、イギリスが生んだ大巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』(1959年)に夢中になる娘たちを見て、「私も娘たちのためにこんな映画を作りたい」という思いを抱いたことから、すべてが始まったと明かす。

アカデミー賞脚本賞にもノミネートされたスリルに満ちたストーリー展開に、当時としては超斬新なカット割りやハイテンポなBGMと融合させ五感を刺激するアクションシーンなど、まさにヴォーン監督がその系譜の最先端となるスパイムービーの源泉ともいえる1作を、2人の娘と鑑賞したヴォーン。その彼のもとに時を置かずして舞い込んだのが、未出版のエリー・コンウェイによるスパイ小説「アーガイル」だった。

こうして運命的なマッチングによって動き出し、ヴォーン監督が2人の娘への想いも込めて作り上げたのが本作『ARGYLLE/アーガイル』だ。さらに彼の娘たちは、ヴォーン監督1人ではなかなかたどり着けなかったであろうアイデアにも寄与している。

娘たち推薦のテイラー・スウィフト映画から得たインスパイアとは?

本作の劇中、小説家エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)が愛猫・アルフィーを入れたドーム状の窓が付いたカスタムメイドの猫用バックパックを背負いながら、スパイを名乗るエイダン(サム・ロックウェル)と壮絶で予測不可能な旅を続けることになるのだが、脚本の初稿段階ではアルフィーはチラリと登場するだけだった。本作のポスターやワールドプレミアのレッドカーペットにも登場するほどの大活躍を見せている今となっては想像もつかないが、ヴォーン監督も「エリーはアルフィーを残して冒険に繰り出す予定だった」と振り返っている。

しかし、「よりドラマチックにするための衝突や緊張感を加えるためには、アルフィーが必要だと気付いた。インスピレーションをくれたのは私の娘たちだ。2人が見せてくれたテイラー・スウィフトのドキュメンタリーで、テイラーは猫用バックパックを背負っていた。私はそれを将来活かせるようにと記憶に留めておいた」と言うように、今度は娘たちが見せたテイラー・スウィフトの姿が監督の新たなアイデアに結び付き、演出の独自性とクレイジーさを強固なものにしたのだ。

世代やジャンルの垣根を超え、世界を魅了する様々なインスピレーションを、突き抜けた感性で映画に採り入れる大胆な手腕こそ、ヴォーン監督の真骨頂と言えるだろう。この意外すぎる制作秘話を踏まえて観ると、“カワイイ角度”からも多くの刺激が加わったことが分かる本作、ぜひ大スクリーンで堪能したい逸品だ。

『ARGYLLE/アーガイル』は全国公開中

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