駅ホームに自習室、乗り換え待ちで学力向上 新潟・直江津、地方特有の事情に着目

新潟県上越市の直江津駅のホームにある自習室=2024年1月

 乗り換え待ちの間に学力アップ―。新潟県上越市の直江津駅ホームに設置された自習室が評判を呼んでいる。電車の本数が少なく長時間待ちも多いという、地方の駅ならではの事情に着目した。竹内幸一駅長は「ふるさとの駅で勉強に励んだ学生たちに、県内だけでなく全国や世界に羽ばたいてもらいたい」とエールを送る。(共同通信=神部咲希)

 直江津駅は、JRやえちごトキめき鉄道の複数路線が乗り入れる。管理する同鉄道によると、1日平均約1200人の利用者の半数以上が通学目的で、高校生が特に多い。電車は1時間に数本しか止まらず、カフェなどの店舗も構内にない。

 塾講師の経験もある同鉄道の鳥塚亮社長が学生目線で「乗り継ぎの時間を有効活用できるのでは」と発案。2019年の就任後に検討を始め、元々あった二つの待合室のうち古い方を改装して20年春に公開した。

 広さ約30平方メートルで25人ほどが利用できる。白を基調とした空間に1人ずつ並んで使う長机や、4人掛けのテーブルが並ぶ。学生専用で午前7時~午後10時に利用可能。冷暖房完備で防犯カメラが付き、コンセントも使える。室内にはスピーカーがなく、アナウンスの音声は小さめに聞こえる。

 県立高田農業高3年の布施遼治さん(18)は1月中旬の夕方、高校生活最後のテストに備え、1人で机に向かっていた。「電車の音も気にならない。家や図書館に比べて集中できる」と笑顔だ。

 竹内駅長は「勉強に励んだ思い出の場所と振り返ってもらえるよう、いつまでも残していきたい」としている。

直江津駅の自習室の内観=2024年1月
自習室で勉強する男子生徒=2024年1月
直江津駅の自習室の外観=2024年1月
新潟県上越市の直江津駅

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