侍ジャパン・種市篤暉「僕もその中に入りたいと思って、去年見ていた」初の代表では「恥じないピッチングをしたい」

「こうやって超一流の方と接することはほぼないので、聞けるところは聞かないといけないと思いますし、自分も試せる部分をいっぱい試して、変化球に限らず試合前のルーティンの話とかを聞けたらいいなと思います」。

侍ジャパンの種市篤暉(ロッテ)は、昨年サポートメンバーとして参加した侍ジャパンだったが、「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024日本vs欧州代表」では侍ジャパンに初選出された。

新人時代、ロッテ浦和球場のサブグラウンドで全体練習後に黙々とダッシュしていた姿が今でも思い浮かぶ。あれから7年の月日が経ち、昨季シーズン自己最多の10勝を挙げ、マリーンズのエース格に成長した。

「(新人の頃から)もちろん入りたいと思っていましたし、WBCを見ていた時も僕もその中に入りたいと思って、去年見ていた」と、昨年行われた侍ジャパンの強化試合ではサポートメンバーとして、オリックス戦に先発した。4回・48球を投げ、0安打、2奪三振、無失点に抑えたが、サポートメンバーという立場で対戦相手も国内球団だった。

今回は正真正銘の代表入り。「素直に嬉しかったです。それと同時に日本を代表する試合なので、何ていうんだろうなぁ、恥じないピッチングをしたいと思います」。

種市といえば、新人時代から常に野球のことを考え、向上心のある投手だ。プロ2年目、一軍の先発投手が遠征に帯同せず二軍のロッテ浦和球場で練習しているときには、先輩のブルペンを見学したり、プロ3年目には「有吉さんに前々日ぐらいにスライダーを教えて下さいと言って、教えてもらいました」と教わってすぐに“有吉さんスライダー”を試合で投げたことも。

昨年も「試合中にフォームというか、グローブの使い方を変えたんですけど、テイクバックがスムーズにいくなということで、今(昨季時点の話)も続けています」と、4月30日のオリックス戦の0-1の2回一死二、三塁で紅林弘太郎を迎えたところからグローブの使い方を変えた。新人時代から変わらぬ向上心と貪欲な姿勢。種市は「全然まだまだです。まだまだです」と、現在も自身が思い描く理想の姿には到達していないという。「やっぱり全部の球種が扱えていたり、もっと平均球速を上げていけたらなと思います」とキッパリ。

今回も日本代表のチームメイトに「周りの人のデータを見て、これを教わろうかなとかいろんな選手のデータを見ていました」と、さすがの探究心だ。

5日の前日会見では井端弘和監督が「これをきっかけにして良いレギュラーシーズンを送って、秋に入ってきて欲しい」と話していたが、種市も「プレミア12がありますけど、それに選ばれるようにアピールしていきたいと思います」と11月のプレミア12の代表入りに意欲を見せる。

「状態はだいぶいいので、自信を持ってマウンドに立てると思いますし、これを機にいいシーズンにしていけたらなと思います」。マリーンズファンだけでなく、全国の野球ファンにも『種市はいいぞ』と思えるような熱い投球を披露してほしい。

取材・文=岩下雄太

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