日本を世界4位に転落させた「円安」の背景―中国メディア

5日、環球時報は、日本の国内総生産(GDP)が世界4位に転落した大きな要因とされる円安について論じた記事を掲載した。

2024年3月5日、中国メディアの環球時報は、日本の国内総生産(GDP)が世界4位に転落した大きな要因とされる円安について論じた記事を掲載した。

記事は、日本の昨年の名目GDPが世界4位に転落たことで日本国内で懸念と議論が起こり、林芳正官房長官が「ドル建てGDPは物価と為替レートの変動に大きく影響される」と説明したことを伝えた。

そして、22年に円相場が急落し始めると、日本ではエネルギーや食料品を皮切りに物価上昇が社会全体に広がり、22年には2万5700品目、23年には3万2400品目が値上がりしたと紹介。長期間続いた物価と賃金の停滞状況が変化する中で、経済の活性化に向けて政府が企業に賃上げを求めているものの、そのペースは物価上昇に追いつかず、厚生労働省のデータでは23年11月における物価上昇分を調整した実質賃金収入が前年同月比3.0%減となり、20カ月連続で前年同月比マイナスとなったと指摘している。

また、物価上昇を招いた要因の一つである急激な円安が発生した背景として、円の「安全通貨」としての地位が揺らいだことに言及。安定的な通貨として国際社会で広く利用されてきた円のレートが不安定になったことで、外国の政府や組織が外貨準備を続々と円から別の通貨に切り替えており、この状況で円安を挽回することは難しいとの認識を示した。

さらに、1970年代初めのニクソンショックに端を発する対ドルレートの固定制から変動性への移行、そして急速な円高を経験し、円高による経済の衰退に対処すべく講じた利下げや大規模な公共工事支出によって不動産バブルを招き、90年代始めのバブル崩壊以降「失われた30年」に陥った日本では、政治家やビジネス関係者の間に「円高恐怖症」がある一方で、逆に円安に対しては寛容な傾向が見られるとの分析も伝えた。

一方で、円安は日本の輸出業界にとっては追い風だとの考え方もあるとし、今年1月の日本の輸出額が予想を上回る前年同期比11.9%増となったことを紹介。この追い風に乗るべく、日本の輸出企業も業務戦略の拡大に乗り出しているとした。

その上で、世界金融史の研究者である宋鴻兵(ソン・ホンビン)氏が「日本の名目GDPは本来、円を価値尺度として国の1年間の製品・サービスの総量を測定しているものであり、米ドルと直接関係がないどころか、常に変動する米ドルに換算してこのデータを評価すれば混乱を招く。1970年代に金本位制をやめた米ドルに、各国の経済活動を評価するための真の価値尺度は存在しない」と論じたことを紹介している。(翻訳・編集/川尻)

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