茨城・日立市 避難バス750台 東海第2原発 事故備え計画案

茨城県日立市は6日、日本原子力発電東海第2原発(同県東海村白方)の重大事故に備えた広域避難計画案を明らかにした。マイカーによる自力避難が難しい住民に必要なバスの台数は、事故時に即時避難する原発5キロ圏で最大延べ約100台、5~30キロ圏も含めた市全体では約750台と試算した。計画は今月下旬の防災会議で正式決定する。

同日の市議会全員協議会で報告した。避難計画は東海第2から30キロ圏内の自治体に策定が義務付けられており、対象14市町村のうち、同市は7番目の策定自治体となる。

日立市は全域が30キロ圏内で、福島県の17市町村に避難する。市人口は16万人余りで、規模は30キロ圏内で水戸市に次ぐ。同じ市内でも距離に応じて避難行動は異なり、5キロ圏内の約2万3500人がまず避難。5~30キロ圏の約14万4500人は屋内退避し、放射線量に応じて逃げる。

移動手段は原則マイカーだが、市はアンケートの結果から、自力避難が難しくバスを利用する住民の割合を2割と想定。小学校などの一時集合場所から乗る計画で、必要台数は5キロ圏の坂下、久慈、大みか3地区で延べ約100台、30キロ圏の残る20地区で同650台と試算した。

一方で、車両や運転手の確保の見通しは立っておらず、市は「単独では解決できない課題」として、国や県と協議を続ける。

避難先の市町村は、おおむね小学校区単位の23地区ごとに割り当てた。住民はまず、いわき市や郡山市などの避難先市町村に原則1カ所ずつ設けられる「避難中継所」に向かい、ここで具体的な避難所の指定を受ける。

計画では、海と山に挟まれて南北に細長い地形から、複合災害や渋滞に備えた避難ルートの確保も課題だった。このため市は高速道路を使う主要な避難経路とは別に、海側や山側の一般道を使う代替経路を23地区ごとに三つずつ、計約70ルート設定した。

市役所本庁舎が使えなくなった場合の行政機能の移転先は、市内については市北部の十王支所、市外は避難先の福島県内の施設を想定する。小川春樹市長は「定期的に訓練を実施し、避難の実効性を高める。必要に応じて計画の修正や見直しにも取り組む」とした。

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