教員をしている友人B子から聞いた体験談です。中1で担任をし、ほとほと手を焼いた、やんちゃな男子生徒がいました。2年後、中3になった彼と、放課後の教室でたまたま2人に。何気なく中1の時の思い出話が始まったのですが……? 学校の先生ならではの感動するお話です。
中1で受け持った男子生徒
B子は中学校の教員。ある年、中1の担任になり、やんちゃな男子生徒を受け持ちました。
「授業中は寝ないでちゃんと勉強しなさい」という風に指導したのですが……。とにかく教室で暴れる、ケンカをする、暴言を吐くとやりたい放題で、B子も必死で奮闘しましたが、彼の心をつかめないまま、1年間を終えてしまいました。
自分の力不足を痛感したB子は、傷心のまま、担任から退くことになりました。
ところが、2年後のある日……
中3になった生徒と思い出話
放課後の教室にB子が向かうと、中3になった例の彼が、1人で机に向かっていました。
「勉強してんの?」「ウン。誰もいない教室だと集中できるから」
なんとなく気まずい空間。その時、彼が落ち着いた様子で、B子との中1の思い出話を始めます。
その話に、B子が
「あの頃は、わたしも色々上手くいかなくて辛かったなぁ。もっとキミの気持ちをわかってあげれば良かった」
とつぶやくと、彼から思いがけない言葉が返ってきました。
「先生には本当に悪いことをしたと思ってます。ごめんなさい」
えっ、と思わず彼の顔をじっと見ました。
「今、全然勉強がわからない。先生が言ってたように、中1からちゃんとやっとけばよかった。反省しています」
予想外の言葉に、そのまま2人で号泣してしまいました。
反抗には理由があった
中1の頃は、複雑な家庭の問題もあり、大人を信用できなかったという彼。
「でも、先生は信用できる大人だった。今ならわかる」
そんな彼も無事、高校に入学しました。
さらに成人式当日には、「無事大人になりました」と報告の電話もありました。
反抗を受けている間は、本当に落ち込みました。自分の至らなさを、自分で責め続けました。
それでも、いつか心は返ってきます。それが、この仕事の醍醐味だと感じています。
今、反抗期真っ盛りのお子さんを抱えているみなさん、なんで通じないの? と悩んでいるみなさん。時間が経って、思いが通じていたことに気づく日がきっと来るはずですよ。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:田中つぐみ