世界を飛び回るジャーナリスト須賀川拓、危険な取材地のリアルと撮影秘話を明かす!

TBSテレビやTBS系列の各局の記者やディレクターたちが、歴史的事件や今起きている出来事、市井の人々の日常を追い続け、記録し続け、熱い思いと共にドキュメンタリー映画として世の中に発信し続けるブランド「TBS DOCS」。テレビやSNSでは伝えきれない事実や声なき心の声を発信し続けるこれらの本気のドキュメンタリー作品に出会える場として、2021年より開催されてきた「TBSドキュメンタリー映画祭」が、東京・大阪・京都・名古屋・福岡・札幌と、全国6都市で3月15日(金)より順次開催!

第4回の開催となる本年は、人種や戦争、社会問題など現代を取り巻く重要なテーマに迫る「ソーシャル・セレクション」、家族の形や身体的な障害など多様な生き方や新たな価値観を描く「ライフ・セレクション」、五感を司る表現者たちやテーマを通し新たな感性に出会う「カルチャー・セレクション」と、3つのテーマに沿って選ばれた作品を一挙上映予定!さらに、過去カンヌでも上映され話題となった異色のドキュメンタリー『人体の構造について(原題)』と、唯一無二の世界観で衝撃を与え続けるA24製作の『オキュパイド・シティ(原題)』、2本の海外招待作品の上映も決定!観た人の価値観を変えてしまうエネルギーに溢れた、“誰かの人生”に触れることができる全17作品をラインナップした本映画祭は注目必至だ!

いよいよ来週からの開催を目前に盛り上がりを見せる中、この度、今同映画祭のソーシャル・セレクションの注目作『BORDER 戦場記者 × イスラム国』の監督を務めた、須賀川拓のトーク付き試写イベントを開催。世界の紛争地域を飛び回る TBS「NEWS23」専属ジャーナリストで、昨年 TBS の人気バラエティ番組「クレイジージャーニー」に戦地から生中継で出演し、その緊迫したリポートが大きな反響を呼んだ須賀川。トークゲストには、中東情勢に詳しく、長年にわたり自書などでも現地のリアルを発信し続けてきた国際政治学者の高橋和夫を迎え、中東のいまを誰よりも知る2人の貴重な話が多数飛び出すイベントとなった!

戦場ジャーナリストとして最前線で取材を続けている須賀川が手掛けた最新作にして、過激派組織イスラム国の“いま”を追いかけた『BORDER 戦場記者 × イスラム国』では、シリア奥深くの砂漠にある難民キャンプを取材し、壊滅したと思われていたイスラム国の極めて危険な思想にいまだ共鳴する人々がいる現実をあざあざと映し出している。映画本編では終始シリアスな表情を見せている須賀川だが、上映が終了し観客からの大きな拍手で迎えられると、思わず笑顔に。本作で取材したシリアについては、「ずっと行きたい国でした」という須賀川。「もともと取材しようとしていた2019年頃は、イスラム国の活動はだいぶ下火になっていて話題になりづらかったんです。戦争は終わった後が地獄だけど、終わった途端に報道がなくなってしまうんですよね。イスラム国についても報道がガクンと減ってしまった中で、こんな地獄のような場所があることを伝えたくて。安全管理の面などいろいろ準備と調整を繰り返して、ようやく取材に行くことができました」と、本作の取材に対する熱い思いを語っていた。

映画本編には、難民キャンプを訪れた須賀川が、子供たちに話しかけた際に「お前の首を切り落としてやる」と衝撃的な言葉をかけられる場面も登場。須賀川は当時を振り返り、「石を投げられたり、嫌いだとか出ていけと言われたり、ある程度のことは予想していましたが、まさか子供たちに『首を切ってやる』と言われるとは思わなかった。映画でも僕が動転しているのが伝わると思いますが、消化するのに少し時間がかかりましたね」とショックを受けたことを明かした。これには高橋も、「こうしてイスラム国の思想が脈々と受け継がれていることは、わかってはいたけれども、映像で現実として突きつけられると、心を突き刺されるような感じがありますね」とコメント。さらに「須賀川さんは結構ヤバい所に取材に行っていると思っていて、すごく評価している」と、あらためて須賀川の姿勢を絶賛した。
海外メディアに比べ、日本のメディアが戦地含む危険エリアへの取材報道に消極的な状況を問題点とした高橋に対して、須賀川は、「僕はありがたいことに結構自由にやらせていただいていています。ちゃんと安全なルートや装備を確保して、何か起きた時のためにプランCぐらいまで作っているので、それで会社が行きたいところに行かせてくれているのかな」と現状を分析した上で、「組織だからこそお金で安全を買えることは間違いなくある。組織に所属していれば、なおさら危険地の取材はやりやすい環境にあるはずなので、僕はやったほうがいいしやりたいと思っています」と、専属ジャーナリストとしての活動について自らの考えを力強くコメント。高橋はそんな須賀川に対し、「現場に行きたい記者は多いけど、なかなか難しい。須賀川さんのようにリスク・アセスメントをしっかりやって取材が実現すれば、『TBSで取材できるなら我が社でも』と続くところがあるかもしれない。ぜひ須賀川さんには、これからも“ヤバくない程度にヤバいこと”をやって欲しいと思っています」とさらなるエールを送った。

続いて行われた質疑応答では、試写会で映画を観たばかりの興奮冷めやらぬ観客から、監督を務めた高橋と、中東情勢に詳しい高橋に対し、次々と質問が寄せられた。
危険な紛争地域での取材について、現場での対応やその時の心境について問われた須賀川は、「僕は現場に行くと入り込んでしまうので、やばいときは襟首をつかんで引き戻してくれとクルーや同行者に伝えてあります。ちゃんと安全対策はしていきますが、危険が迫ってきたときは、結構テンパっています(笑)」と本音を明かす。また、本編で現地コーディネーターに「カメラを止めろ」と言われても撮影が続行されている場面について質問されると、「実はカメラマンには、1回目の『止めろ』では止めるな、2回目の『止めろ』では絶対に止めろ、と指示しています。現地コーディネーターや通訳が最初に『止めろ』というときはある程度安全を見積もっているので、そこで止めちゃうと撮るべきものを、撮り逃してしまう可能性がある。だから、2回目の指示で止めろと伝えてあるんです」と、撮影の裏側についてコメントする一幕も。

そんな過酷な取材活動を続ける原動力を問われた須賀川は、「むしろ先生の原動力をお聞きしたい!」と、こちらもさまざまな取材に赴き危険な体験も経てきた高橋へさらに質問。高橋は、「知的好奇心ですかね。僕はテレビ番組で解説をすることも多いのですが、ちゃんと勉強してしっかりわかりやすく伝えなければ、というのも原動力の一つだと思います。一人でも多くの人に伝えたいですし、例えば台所でお皿を洗いながらでもパレスチナ問題を考えてもらえるように、さらにわかりやすく伝える方法を考えていきたいです」と、活動のモチベーションについて語った。「一人でも多くの人に伝える」ことに関して、須賀川は「僕も似ているかもしれません」と前置きした上で、「本作で取材したような場所には世界の大手メディアが取材に来ますが、日本ではニュースにならないことが多いです。だけど日本人の僕が現地に行くことで、一気に共感してもらいやすくなる。日本は共感力が高い国民性で、良くも悪くも何かきっかけがあるとすごく共感してくれる人が増えるんです。僕がそのきっかけになれるんだったら減るもんでもないし、減るのはスニーカーの底ぐらい。どんどん現場に行って、日本で世界の情勢を知ってもらうきかっけになりたいというのが、原動力ですね」と熱弁した。

トークイベントの最後には、両者から観客と劇場での上映を心待ちにしている人々へメッセージが贈られた。高橋は、「体を張って、頭ではなく足で考えた報道をしてくれるジャーナリストは本当に貴重です。私は須賀川さんをずっと応援したいと思っているので、須賀川記者・監督に熱いご支援をお願いします!」と須賀川を猛プッシュ!対する須賀川は、「このご時世、配信もあったりメディアの報じ方が多様化しているなか、劇場にお金を払って時間をかけて観に来てくさる方は本当に貴重だなと思います。これからもこうした取材は続けて、1年に1本は映画を作っていきたいですね。作品をご覧になった方のご意見もぜひうかがいたいなと思っています」と、今後の新作ドキュメンタリー映画製作についても意欲を見せた。

『BORDER 戦場記者 × イスラム国』をはじめとする、観た人の価値観を変えてしまうエネルギーに溢れた、“誰かの人生”に触れることができる作品をラインナップした本映画祭は注目必至!「TBSドキュメンタリー映画祭2024」は、3月15日(金)より全国6都市[東京・名古屋・大阪・京都・福岡・札幌]にて順次開催!

■3月20日(水・祝)15:00の回上映後舞台挨拶決定!
【登壇者(敬称略)】 監督:須賀川拓 ゲスト:白川優子(国境なき医師団)
【会場】ヒューマントラストシネマ渋谷

<TBSドキュメンタリー映画祭2024 開催概要>
★東京=会場:ヒューマントラストシネマ渋谷|日程: 3月15日(金)~3月28日(木)
★大阪=会場:シネ・リーブル梅田|日程: 3月22日(金)~4月 04日(木)
★名古屋=会場:センチュリーシネマ|日程: 3月22日(金)~4月 04日(木)
★京都=会場:アップリンク京都|日程: 3月22日(金)~4月 04日(木)
★福岡=会場:キノシネマ天神|日程: 3月29日(金)~4月11日(木)
★札幌=会場:シアターキノ|日程: 3月30日(土)〜4月11日(木)
公式サイト: https://www.tbs.co.jp/TBSDOCS_eigasai/

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