UAゼンセン、5.15%賃上げ 満額回答の組合昨年上回る

Miho Uranaka

[東京 7日 ロイター] - 国内最大の産業別労組UAゼンセンは7日、2024年の春季労使交渉(春闘)で、集中回答日を待たず28の組合が満額回答を得たと発表した。うち25組合を対象とした4日時点の集計によると、正社員の賃金引き上げ分(ベースアップ)は5.15%と、2%程度の足元の物価上昇率を大きく上回った。

早期に妥結した組合数は昨年を超えており、古川大・書記長は「交渉状況を伺う中では、かなりしっかりと要求に対して取っていけるというような組合があると認識。手ごたえを持っている」と述べた。13日の集中回答日に向けて期待を示した。

28組合のうち27がイオングループ。UAゼンセンは、すべての組合に賃上げが普及していくため早めの妥結を促す方針を示しており、大手グループの取り組みで賃上げの勢いを形成したい考え。

1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は前年同月比2.0%上昇。2月の都区部は前年同月比2.5%上昇した。

UAゼンセンは繊維、化学、流通、サービス業など2260の労働組合が加盟(22年9月現在)する日本最大の産業別組織の一つ。春闘では747組合、111万人強が要求書を提出し、正社員の要求分は加重平均でベア4.34%で昨年を上回り、UAゼンセン結成以来、最も高い水準となっている。制度昇給とベアを合わせたパートタイムについては6.96%で、正社員の要求である6.18%を上回る。

賃上げの原資となる価格転嫁の状況について、UAゼンセンの製造産業部門が実施した調査では、90%以上の組合が十分に進んでないと答えた(208組合が回答)。労務費の転嫁が最も厳しく、全体の36%が全く転嫁できていないと回答。半分も転嫁できていないとしたのは全体の88%に上り、特に中堅・中小企業で遅れが見られた。

人件費が上昇する中、価格転嫁の難しさが浮き彫りになった形だが、UAゼンセンの松浦昭彦会長は「これまで長い間我慢することに慣れてしまい、上げてもらうことに慣れていない。受け取る側も上げることに慣れていない」と指摘、相応の努力が必要とした。3月末以降に本格化する中小企業の賃上げ交渉に向け、労働組合から経営者に話を持ち掛けるよう推奨していく意向を示した。

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