英が株式市場改革案、個人投資家による国内株投資促進

Huw Jones

[ロンドン 6日 ロイター] - 英国のハント財務相は6日、議会の春季財政報告(春の予算編成方針)で、個人投資家による英国株投資の非課税枠拡大や、未公開株の取引プラットフォーム新設、年金基金の規制強化など、英国企業への投資を拡大するとともに海外から株式上場を誘致するための一連の改革を発表した。

英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、ロンドンの金融街シティーとアムステルダムなどEUの金融センターとの競争が激化していることが背景。ハント氏はこれまでも金融市場改革を打ち出してきた。

ハント氏は、英半導体設計企業アームが上場先にニューヨークを選んだような事例の二の舞を避けたいと強調。「わが国の素晴らしいハイテク企業には、ここで出発するだけでなく、ここにとどまってほしい。上場の時を迎えてもだ」と語った。

今回の改革では、個人貯蓄口座(ISA)における英国株投資の非課税枠を、現在の年間2万ポンドから2万5000ポンド(3万1785ドル)に引き上げる。

政府が保有しているナットウエスト銀行の少数株について、一部を今夏、個人投資家に売り出す方針も示した。「個人投資家の新世代」に投資チャンスを生み出すのが狙いとしている。

新種の未公開株取引プラットフォームを設けて幅広い投資家層を育成する計画を巡っては、財務省が関連規則について意見の公募を開始した。

一方、確定拠出年金(DC)と地方政府の年金制度に対しては、海外投資と英国株投資の水準について開示を義務化し、英国企業への投資拡大を促すと発表した。

シティーの行政を担う「シティー・オブ・ロンドン」の政策会長、クリス・ヘイウォード氏は予算方針について「英資本市場にとって待望のカンフル剤になる」と歓迎した。

一方で、ISAの非課税枠拡大は英国企業への投資を集中させ、個人投資家を保護して運用成績を向上させるという金融当局の責務と相反する、との指摘も出ている。

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