演奏中に地震、どうする?! 和歌山・上富田町で「避難訓練コンサート」

町教委職員の誘導で会場から避難する観客ら(和歌山県上富田町朝来で)

 和歌山県上富田町朝来の上富田文化会館で、町教育委員会主催の「避難訓練コンサート」があった。演奏会中に地震が起きたという想定で、出演者や観客が文化会館の外へ避難。防災に対する意識を新たにした。

 田辺市消防団音楽隊の演奏中に、音響と照明で地震発生を表現。緊急地震速報が流れ、暗転して非常灯に切り替わった。隊員や観客は頭部を守りながら身を低くして安全を確保。その後、拡声器を持った町教委職員の誘導で外へ出た。

 どのタイミングで訓練が始まるかは観客に知らせていなかったが、避難開始から6分ほどで全員(観客146人と隊員27人)の避難が完了した。

 終了後、市消防本部上富田分署の田中義高・分署長(57)は「それぞれの立場で、地震発生時にはどんな行動を取るべきかを考えるきっかけになったのではないか。意義のある訓練だった」と評価した。

 防災士の資格を持つ同町朝来の幾島浩恵さん(54)は、家族4人で観客として参加した。「今回は訓練と分かっていたので慌てなかったが、実際にはどうなるだろうか。ぜひ別の想定でも訓練をやってみてほしい」と話した。

 音楽隊長でバスクラリネットを奏でた川上泰永さん(46)は「緊張感を持って参加することができた。今後は会場の避難経路を確認しておく必要性を感じた」語った。

 上富田町教委が観客や出演者がいる状態で訓練をするのは初めて。今回の観客からはアンケートで意見を募った。町教委は「訓練を踏まえて課題を見つけ、マニュアルを作成したい」としている。

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