琵琶湖に異変、アユが歴史的不漁 平年の3%「出荷できない状況」

琵琶湖のヒウオ(2016年撮影)

 1月の琵琶湖でのアユ漁獲量が平年の約3%にとどまり、記録が残る2009年以降で最も少なかったことが、滋賀県の調査で分かった。昨夏の高温で産卵が少なかったことなどが原因とみられる。県内の漁業関係者からは「出荷できない非常に厳しい状況。少しでも早く回復してほしい」と悲痛な声が上がっている。

 県内ではこの時期、琵琶湖のエリでアユの稚魚ヒウオを捕っている。各漁協が設置するエリの約半数にあたる14カ所でヒウオの漁獲量を調べたところ、1月は1カ所あたり平均4.3キロと平年(149キロ)の2.9%にとどまった。産卵が多すぎたことによるえさ不足と成長不良で記録的な不漁だった17年(6.5キロ)以来の少なさだった。

 県によると、夏の高温や少雨で川の水量が減った影響で、産卵シーズンの昨年8~10月に確認された卵は平年の2割ほどだった。ふ化して琵琶湖に下ったヒウオも減ったとみられ、今年1月に水産試験場が調べた魚群数も平年の2割程度だったという。

 琵琶湖では昨秋から水位低下が続き、今年1月には18年ぶりに県渇水対策本部が設置されている。アユの生息状況を確認し、漁獲につながっていない原因を調べている県は現時点では渇水と不漁の因果関係は不明とするが、2月20日の定例会見で三日月大造知事は「漁業者からは、水位低下でエリ周辺の流れが変わり、アユが入らないと聞いている」とした。

 不漁に伴い、各漁協はアユ養殖業者からの注文量を満たせておらず、市場を通じた小売店や飲食店への出荷も滞っているという。北湖にエリを設置する大津市の志賀町漁協事務局は「今の状況では、この先の漁獲量も例年並みに戻るかどうか。利益は出ていないが、操業を続けて望みをつなぐしかない」と話している。

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