「ニセコ」の次は「上川」? 道内スキーリゾートの現状は

今週のけいナビの特集は道内のスキーリゾートの現状。世界的なリゾートへと成長したニセコエリアと、ニセコブームの火付け役となったオーストラリア人が急増する上川エリアを取材した。

倶知安町のニセコ東急グラン・ヒラフ。東急不動産が運営するニセコエリアの中核的なスキー場で、5類移行で規制が緩和された今シーズンは、コロナ前とほぼ同じ数にまでインバウンドが戻ってきた。中でも目立つのが、東南アジア各国からの富裕層だ。

東急リゾーツ&ステイが独自に行った調査によれば、東南アジア各国から訪れた人は、コロナ前の約1.8倍に増えた。

海外の富裕層をターゲットとしたニセコHANAZONOリゾートにもこうした国からの人たちが増えていて、今シーズンはルイ・ヴィトンの期間限定ショップもオープン。100万円を超えるスキー板など高額商品も続々と売れているという。

ニセコHANAZONOリゾートでは、もうひとつ特異な現象が。ラーメンや定食など主なメニューの大半は2000円以上で、いわゆる「ニセコ価格」がいたるところで見られる。リゾートを運営する日本ハーモニーリゾートの担当者は、以前取得した初級者向けのスキー場とHANAZONOとの間を将来、ロープウエーで結ぶ構想を練っていて、この資金を確保するため「ニセコ価格」をあえて設定しているとする。円安を追い風に売れ行きは好調だ。

一方、上川エリアの大雪山系旭岳ではニセコブームの火付け役となったオーストラリアからのスキーヤー、ボーダーが多くみられる。ニセコよりも人が少ない上、上質のパウダースノーを楽しむことができるためだ。

旭岳はスキー場としてはPRされていないが、圧雪された4つのコースがあり連日多くの人が訪れる。ロープウエーは10分おきに運転し本数を増やしているが、中は常に満員状態だ。

こうした状況の中、富良野市ではパウダーを「見える化」する取り組みがスタートした。「富良野盆地パウダー」というサイトを立ち上げ、独自の「ふわサラ度」という指数を用いて、その日のパウダー状態を誰もが分かるようにした。

上川エリアで最もオーストラリアからの人たちが多く訪れているのは、占冠村にある星野リゾート・トマムだ。ニセコとの差別化を狙い、スキー上級者以外の人も楽しめる「ファミリーリゾート化」を図った結果、家族旅行の受け入れが急増した。

今後もファミリーで楽しめる仕掛けを充実させる一方で、上級者向けのコース増設も計画している。

番組MCの杉村太蔵さんは、旭川空港と成田空港を結ぶジェットスターの便が昨年就航したことに触れ、「スキーリゾートと観光地、空港間のアクセスを充実させれば、より多くの人を呼び込むことができるのではないか」と指摘した。

(2024年3月9日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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