働く妊婦の約20%が経験!? 実母から「3歳まで保育園はダメ」、職場では「何月で辞めるの?」と言われイラッ…。リアルママボイス

引用元:Zinkevych/gettyimages

「たまひよ」アプリユーザーに「妊娠判明時に『仕事はやめたほうがいい』と、アドバイスされたことはありますか?」と、質問。約80%が「なかった」と、回答。産休の定着を感じる数字となりました。「あった」は約20%。納得の声もありましたが、悔しい思いをしている妊婦さんの声が届きました。
3児の父で自身も共働き夫婦である、ワーク・ライフバランスコンサルタントの大畑愼護さんに対処法を聞きました。

「育休復帰後、辞めさせたい感じが伝わってきた」「不妊治療との両立が難しい」私が妊娠・出産を機に仕事を辞めようと思った理由

産休が認知される一方で、まだまだ根深い問題と浮き彫りに

Q:家族や職場の人、友人などのまわりから『仕事はやめたほうがいい』と、アドバイスされたことはありますか?

なかった 77.2%
あった 21.6%
その他 1.2%

「なかった」という回答が77.2%。「あった」は21.6%。
日本社会でも、働く母という存在は当たり前になっているようです……と、思いたいのですが、次の質問によってまだまだ働く母に逆風があることがわかります。

「誰から言われた?」では親族が1位に

Q:「仕事はやめたほうがいい」とアドバイスされたことが「あった」方に伺います。誰から言われましたか?当てはまるものをすべてお選びください

1位 親族(義理家族、実親、きょうだいなど) 46.1%
2位 夫・パートナー 40.8%
3位 職場上司や同僚 38.2%
4位 友人・知人(先輩ママも含む) 14.5%
5位 その他 9.2%

1位 親族、2位 夫・パートナー、3位 職場という結果に。

さらに「アドバイスされたときの気持ちや相手がアドバイスをした理由など、エピソードを教えてください」と、質問すると、「夫・パートナー」と答えた人は「コロナ禍だったので」「職場環境が悪かったので」として、納得している声が大半でした。

「身体を第一に考えて欲しいと言われました。安心しましたし、頑張らなくていいんだと心が軽くなりました。妊娠前、仕事のストレスで食事が摂れないこともあったので、そういう状況を見ていたからこそのアドバイスだと思いました」(なつこ)

しかし、「親族(義理家族、実親、きょうだい)」「職場の上司や同僚」では、厳しい声が届きました。

世代ギャップからのアドバイスでイラっとした、親族(義理家族、実親、きょうだいなど)編

「親から今の時代にそぐわないアドバイスをもらい、正直ありがた迷惑でした。自分たちで望んで産むのだから3歳までは保育園などに頼らず自分で育てるべき!ということも口酸っぱく言われ、我が家の金銭事情や会社の育休制度も知らないのに勝手に口を出さないで!と思いました」(とかげちゃん)

「義母に会う度に、仕事内容を聞かれては『いつまで働くの?』『無理しないように』という、アドバイスがありました。心配してくれている……ように感じなかったんですよね、言い方が。妊娠を機に退職する予定でしたが、『働くこと』=『赤ちゃんにとってわるいこと』と、言われているような気がして複雑でした」(ぼんちゃん)

「『大丈夫? 』『無理しないでね』は、理解ができます。『まだ仕事してるの?』は、やかましい と思いました(笑)」(まかろん)

「妊婦悪阻で休職したら、そのまま辞めるように言われました。私はその会社で産休育休をとる予定だったので、『辞めることは全く考えてない』と、ハッキリ伝えました」(そらまま)

「キャリアを手放すのは無理と言いました」(ほったさん)

職場上司や同僚からのアドバイスという名の退職のすすめも!?

「アドバイスと言うか、職場の方から辞めてくれと言われました。理由は『何かあったときに責任が取れないから』だそう。確かに人と接する職場で体力仕事だけど、面接時は『妊娠や出産などフォローする体制は整っている』と聞いていたのに(苦笑) 結局、何も言わずにやめました」(ゆりっぺ)

「『辞めた方がいい』と、言うより、辞める前提で話をされました。『何月で辞めるの?』『また辞める人いるのかー』などなど」(Kaaaaa)

「アドバイスという名の厄介払いのような言い回しだったなー」(すー)

「後輩に『仕事辞めないんですか? 』 と言われて、イラっとしたなぁ(笑) 天然な子だったので、子どもは専業主婦で育ててあげるのがいい!って思い込んでいたよう。後にその子もワーママになり、大変さを知ったみたいです」(moon)

厳しい意見もありましたが、夫婦の絆や周りの感謝を感じるエピソードも届きました。

「親族と職場から言われました。でも、その時の自分の気持ちというか体調で決めたいと思っていたし、夫も『〇〇(私)の体調次第で決めればいい』と言ってくれて。働く、働かないに関しては、周りの人の言葉があまり気にならなかったです」(ぴの)

「やめろ、というか『仕事を休め』と、かなり言われました。不妊治療でやっと授かったこともあり、周りがとても気遣ってくれるなか切迫流産に。医師から指示された期間のみ休み、仕事復帰したときは、職場から『仕事を休め』と言われました。だいぶ周りに心配をかけました」(ふじ)

3児の父であり育休取得の経験がある、ワーク・ライフバランスコンサルタントの大畑愼護さんに聞きました。

「良かれと思ってのアドバイス。気持ちだけ受け取りましょう」と、大畑さん

“どのように子育てするのか”は、夫婦それぞれの『価値観』と直結するので大変センシティブな問題です。

他人がとやかく言うことではないけれど、自分も経験している出来事となると、つい自分の問題と重ねてアドバイスしがち。良かれと思って伝えていることであっても、受け取る側にとっては自分の選択を否定されているようで、つらいですよね。

特に今の子育て世代の親世代は、専業主婦家庭が多かった時代で『保育園に預けること=かわいそうなこと』、と直結しがちです。そういった上の世代からの、ある意味『あなたを大切に思ってのアドバイス』は『私を大切に思ってくれている』という気持ちだけ、ありがたく受け取ってみましょう(笑)

『辞めたら?』という声に対して、もし何か返すとしたら『出産を経て、仕事に復帰した後、〇〇さんはこんな風に頑張っているようです。うちも同じような夫婦の役割分担でできそうなのでやってみます』といったように、具体的な共働きロールモデルをお伝えするのも良いかもしれません。

昨今の仕事と子育ての両立が一般的という、実情を知らないが故のアドバイスかもしれませんので、逆にこちらから情報提供してみる、というスタンスです。(それぞれの時代で最適な選択があります。『良い/悪い』『新しい/古い』という見方ではなく、相手を尊重することを忘れずに!

最近では産前産後で離職することは少なくなっていますが、子どもの成長をきっかけに仕事を変わることは、必ずしもネガティブなことではありません。
時間制約を持ちながらも働きやすい職場は、いずれ訪れる介護期においても働きやすい職場です。

コロナ禍のような不確実な世の中になったときにも、夫婦で働くことが様々なリスクヘッジにつながります。ブラックな働き方が敬遠される昨今ですから、新しいステージに目を向けることもポジティブに考えてみましょう!」(大畑愼護さん)

大畑愼護(おおはた しんご)

前職では全国を駆け巡る激務をこなし、やりがいを感じながらも長時間労働の弊害を実感。そこで個人及びチームの業務内容などを見直し・改善して残業時間半減を実現します。その経験を生かして生産性の向上を提言するワーク・ライフバランス社へ転職。コンサルタントとして、企業の講演・研修を担当し多数のメディアにも出演しています。
プライベートでは3児の父。前職では激務のせいで一家離散の一歩手前でしたが、こちらも見事に立て直し、第3子誕生の際には1年間の育休をとって一家5人で南国フィジーへ育休移住を決行しました。プライベートではトライアスロンに挑戦するなど、既成概念にとらわれず仕事・家庭・自分の時間の充実を提案する型破りイクメンパパです。

大畑愼護さんのブログ「育休移住.com」

大畑愼護さんのインスタグラム「shindyyy777」

文/和兎 尊美

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2023年10月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数324人)
※記事の内容は2023年12月の情報で、現在と異なる場合があります。

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