【祝100周年!特別インタビュー】これまで そして「新たな時代」へ

出典:リビングむさしのWeb

2024年に創立もしくは移転100周年を迎える武蔵野大学、成蹊学園、国立天文台。むさしのエリアがまだ“村”だった時代に、どのような縁でこの地での第一歩を踏み出したのでしょうか。100年前を振り返るとともに、紡いできた歴史を教えてもらいました。

豊かな自然の中、一人ひとりが輝き

切磋琢磨して成長する場を目指す

1924年5月創立【武蔵野大学】

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個性豊かな教育棟や研究棟、実習設備、図書館など、学びをサポートする施設が充実

関東大震災の悲しみや苦しみから立ち上がり、新たな希望を実現させたい。女性が社会で輝くために人格教育の場を作りたい。その思いを原点に、大震災の翌年の1924年、前身の武蔵野女子学院が築地に誕生しました。1929年には「豊かな自然は人を育てる」と保谷村(現:西東京市、武蔵野キャンパス)に移転。1950年に短期大学、1965年には創立当初からの願いだった大学(武蔵野女子大学)が設立され、2003年に武蔵野大学と名称変更。大学は2004年から男女共学化され、現在は大学・中高・幼稚園・保育園などを擁する総合学園として学びの場を広げています。

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100周年記念プロジェクトが進行中

「響き合って、未来へ。」をメッセージとし、10のプロジェクトが進行中の「創立100周年記念事業プロジェクト」。その一つである「論文・作文コンクール」では近隣の小・中学校から約400件もの応募がありました。プロジェクトの詳細はWebサイトで。

【武蔵野大学 学長 西本 照真さん】

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未来を生きる人たちに、今、何を伝えるか。ワクワク感があふれます

建学の教えをバトンリレーのように伝えて繋ぐ。表現や発信の仕方は時代で変わっても、「生きとし生けるものが幸せになるために」との願いを実現するための教育を、という思いはずっと変わりません。100周年は過去と現在、未来が一つに出合う瞬間です。大きな区切りを迎える今、意識しているのは次の区切りとなる2050年。25年後には今学んでいる学生たちが日本と世界の中核となる世代になります。だからこそ、若い彼ら彼女らに、今私たちが何を伝えていくのか。責任を感じるとともにワクワクでいっぱいです。これからも地域の皆さんに支えられながら、一緒に歩んでいきたいと思います。

バランスの取れた個性尊重の人間教育を実践。

“桃李の人”を育てる

1924年3月吉祥寺移転【成蹊学園】

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成蹊学園は、1924年に小学校・中学校を含む校地を、池袋から吉祥寺へ移転(学園創立は1912年)。「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」という建学の精神に基づき、人格、学問、心身にバランスの取れた個性尊重の人間教育を実践してきました。1925年には七年制旧制高等学校を開校、1949年には成蹊大学を創設。リベラルな学風を受け継ぎながら5学部と大学院を擁する総合大学へと発展しました。2023年には「確かな教養と豊かな人間性を備え、グローバル社会の発展に貢献する『桃李の人』を育てる」という目標を掲げ、さらなる教育の充実に取り組んでいます。

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吉祥寺と成蹊の100年を振り返る特別企画展を開催中

移転後100年の歩みや地域の移り変わり、共生の歴史を年表や写真などで振り返る特別企画展「成蹊学園吉祥寺移転100年~地域との連携・共創の軌跡~」を成蹊学園史料館で開催中。「吉祥寺×成蹊学園 移転100周年記念サイト」もあります。

【成蹊学園 学園長 江川 雅子さん】

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町・地域と学校が結びつくことで 新たな価値が創造される関係を大切に

成蹊学園は、100年前に池袋から吉祥寺へ移転し町の発展とともに成長を続けてきました。創立者の中村春二先生は、工場敷地内に従業員用の住宅や娯楽施設を設けたイギリスのキャドバリー社の田園都市にならって吉祥寺に理想の学園を作りたいとお考えでした。本学は創立当初から「本物に触れること」を重視し、その体験を通し、自ら考え、課題を解決する力を養っています。それは地域との連携活動にも通じており、吉祥寺の課題を解決する授業、地域のお店とのコラボなど、地域連携、地域貢献につとめてきました。町と学校が結びつくことで新たな価値が創造され、互いに成長していける、そういった関係でいつづけたいと思っています。

より深い“星空の向こう”を求め

日本の天文学の研究拠点に

1924年9月三鷹移転【国立天文台】

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日本の天文学研究の拠点となる研究機関が広がっています

以前は麻布飯倉にあった国立天文台(当時は東京天文台)。敷地が手狭になったことや、周辺の観測条件が悪化したことからより良い環境を求めた結果、バスや京王線が通り始め、便利になりつつあった三鷹への移転が決定。1914年に建設工事が始まりました。関東大震災で麻布の施設が大きな被害を受けたこともあって移転は急ピッチで進行し、1924年9月1日から三鷹に本部機能が移転。現在の三鷹キャンパスは国内外に観測施設を擁する国立天文台の本部であり、観測データの集約やさまざまな研究、新たな観測装置の開発の拠点になっています。

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一般見学コースがあります

国立天文台三鷹キャンパスには一般見学コースがあり、年末年始を除く毎日、10:00~17:00に無料で見学できます(少人数の場合予約不要。当日は見学者受付で手続きが必要)。事前申込が必要なイベントが行われることもあるので、詳細は「国立天文台」Webサイトをチェックして。

【国立天文台 天文情報センター長・広報室長 山岡 均さん】

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実は天文学はとても身近な存在 ときには空を見上げてほしいですね

2025年の春分の日、秋分の日などを記した暦が先月発表されましたが、「暦の作成」は300年以上前、江戸幕府天文方の時代から続く重要な役割。観測・研究、暦の作成、そして日常使っている時刻のもとになる中央標準時を決定する「保時」の3つが天文台の役割の柱です。観測環境を守ることは重要で、空の暗さはもちろんですが、最近では“電波”も問題になっています。宇宙からの電波はとても微弱なので、周辺が電波だらけだと宇宙からのメッセージが受け取れません。三鷹でも星は見えます。たまには携帯電話から離れ、空を見上げて、その先にある世界に想いを馳せてみるのもいいのではないでしょうか。

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