『ゴールド・ボーイ』で岡田将生演じる東昇と頭脳戦を繰り広げる子供たち――。上間浩役・前出燿志にクローズアップ

3月8日(金)より公開の映画『ゴールド・ボーイ』。岡田将生演じる殺人犯の東昇と対峙する少年少女たちを演じるのは、Go!Go!kidsのメンバーである羽村仁成と、多くの人気女優を輩出してきた雑誌「nicola」の専属モデルを務める星乃あんな、そして『ラーゲリより愛を込めて』で主人公の次男役を演じた前出燿志。一見アンバランスにも思える彼らだが、その友情と共謀の果てに待ち受ける結末は――? 
朝陽(羽村)の親友役・浩を演じた前出燿志に、役柄や作品についてはもちろん、彼のパーソナルな部分もたっぷりお話を伺った。

――オーディションで、朝陽の親友・浩役を射止めたと伺いました。

「作品のお話をいただき、オーディション用の台本を読んでみたらとても面白くて。絶対にこの役を演じたい!と思い挑戦しました。役が決まってからは、とにかく研究ばかりしていました。色んな映像作品を観て、僕なりの浩像を組み立てていました」

――どういう浩像を考えていたんですか?

「僕が最初に考えていたのは愛されるおバカキャラっぽい浩でした。それを用意した状態で現場に行き、金子監督と打ち合わせして演技を見ていただいたのですが、監督が考える像とは違ったようです。何回も話し合いながら、撮影中に撮った映像をモニターで見せてもらい、ようやく金子監督が求めている浩像が理解できました」

――髪型は金髪だし、身体も大きく見えましたが、鍛えてました?

「アクションシーンがある予定だったんです。僕はタンクトップやアロハシャツという比較的、肌が出る衣装が多かったので、筋トレをして身体づくりをしました」

――物語では、13歳という役ですが、オトナびた不良に見えました。

「当初、浩はすぐ手が出る喧嘩慣れしたタイプの設定だったんです。実際はバタフライナイフを使うシーンが多かったのですが。僕の父親が、身体を鍛えるのが好きなので、父親と相談したりしていました。あとは、普段の部活でも筋トレをしていたので浩らしさが出ればいいなと思っていました」

――親友の朝陽、義理の妹の夏月、浩と。3人で行動します。映画自体は緊張感あるけど、実際には、世代が近い子たちとのロケ現場です。どんな雰囲気でしたか?

「僕たちは3人で一緒にいることが多かったので、かなり長い時間話しました。ゲームの話とか(笑)。僕と(羽村)仁成くんは同い年ですが、(星乃)あんなちゃんは2歳年下です。だから、あんなちゃんには"最近の中学生ってどんな感じ?"とか聞いてましたね」

――ジェネレーションギャップだ(笑)。

「ほんとに他愛もない話ばかりしていました(笑)。僕たちが素の感じでいるのが、撮影でも活かせるといいなと考えていたんです」

――沖縄のロケはいかがでした?

「1カ月くらいなので、住んでいた感覚です。特に印象に残っているのは、劇中の墓地のシーンです。複雑な地形に、作りも違うお墓があったので。初めて見た時は、‟ここでこの後、ああいうシーンを撮るのか……”と思いました。撮影当日は、雨も少し降っていたので、地面がぬかるんでいて、これから起こることを表すようなうっそうとした雰囲気だったので、より緊迫感あるシーンに仕上がったのではと思ってます」

――岡田さんと子どもたち3人の頭脳戦が軸にありますが、後半の浩の様子を見ると、人懐っこい子なのかなと思ってしまいました。

「僕は浩を演じる上で、理解を深めていき、浩は素直で幼い子なんじゃないかなと思います。本能の赴くままに行動していますが、でも友だちを大切にしている。朝陽と夏月のために動いてると思います。本当は、愛情深い少年なんじゃないかなと感じます」

――後半、岡田さん演じる東昇に懐いていましたよね(笑)。

「素直なんです(笑)」

――浩の行動で理解できる点はありますか?

「生まれも育ちも今まで受けたことも根本的には違うんですけど、朝陽や夏月と仲良くするところは、割と僕の素にも近いのかなと。僕自身が人懐っこいというか、誰かと喋ることが好きなので、そこは似ているかもしれません」

――岡田さんは、子供たちに自由に演じてほしくてできるだけ距離をとられていたと伺いました。岡田さんの演技を間近で見て、いかがでしたか?

「本当に‟すごっ!”って口から出ちゃうくらいインパクトがありました。演技する時の顔の表情の使い分けとか、オーラがあるし、セリフの言い回しも何パターンも用意されていて。‟さすが岡田将生さんだ”と心の底から尊敬しました」

――岡田さんとの共演で印象に残ったシーンはありますか?

「東と初めて会う車の中のシーンです。僕は、妄想の中で一度、東に殺されちゃうんですよ。あの撮影が凄く大変で。血のりが首から噴き出すので、車の中にいる全員が血まみれになるんですよね。監督は、車の窓に血しぶきが飛び散るのを撮りたかったみたいなんですけど、血のりの角度が難しくて。岡田さんとの掛け合いをしてからのそのシーンなので、息を合わせるように頑張りました」

――なかなかない経験ですね。

「技術さんも凄いなと思いました。2リットルのペットボトルに何本も用意して、血のりを溜めてるんですね。この作品のスケールの大きさも感じ、みなさんの足を引っ張らないようにがんばらないとと気合が入りました」

――東も朝陽もキャラクターは違いますが怖いタイプ。実際の前出さんは、この2人だとどちらに恐怖を感じる?

「あ~~! 僕はあさひが怖いですね~! 朝陽のあるシーンを僕は見学していたんですけど、もう本当に仁成くんが怖く見えて(笑)。絶対、近づきたくないタイプは朝陽です(笑)。東の冷徹さも怖いんですけど、まだ感情に即して行動している気がするんですよ。でも、朝陽は、『無』な感じがします。‟この子、感情がないのかな?“‟何を考えているのかな?”というところが怖いですね」

――この映画の特に観て欲しい部分をアピールしてください。

「キャスト、スタッフ、監督と、全員が一丸となってよい作品にしようと挑んだ作品です。色んなところに良さがあるんで、何回も観ていただきたいです。キャストの演技のよさ、小道具のこだわり、カメラワークで伝わる緊迫感など、観ていただけたら、またひとつ新しい視点で楽しめると思います。何回も観て、魅力を見つけていただけたらと思います!」

――ありがとうございます。ところで、前出さんは、このwebインタビューで初登場です。普段はどういう男の子なのか知りたいので、公式プロフィールいじりをやらせてください! 気になったのが、趣味がプログラミングと……。

「僕の通った小学校では、たくさんある教科の中で、一教科を決めてその分野の学びを深めていくという特殊な授業がありました。そこで、僕は数学を選んだんです。その際にプログラミングに初めて出会って引き込まれてしまいました。中学や高校に進学していく中でも、情報の授業などを好んで選択したり。奥が深すぎて、底が知れない! 本当に研究のしがいがある楽しい分野です」

――特技が、英語とスキーとIQテストと。勉強も好きだし身体を動かすことも好きなんですね。

「勉強面に関しては小学校で培われた経験がいちばん大きいですね。知能訓練という授業もあって、謎トレや脳トレだったり、瞬発力や記憶力だったり、色んな頭の使い方を総合的に鍛えるんです。そこで頭を使うことが好きになって、それに準ずる形で勉強しています」

――長い目で見て俳優さんのお仕事でも役立つことだと思います。このお仕事に出会ってからご自身の視点で変わったことはありますか?

「昔から将来の夢がコロコロ変わっていくタイプだったんです。すぐ影響を受けるタイプで、例えば、刑事ドラマを観たら警察に憧れたり(笑)。そんな中、俳優のお仕事を経験してみて、自分は表舞台に立つことが好きなんだなと実感しました。そこからは俳優の仕事を職業として続けたいとひとつに絞ることができました」

――俳優さんなら色んな職業も演じられるしね!

「そうなんですよ。色んなことに興味を持つ僕のためにあるような職業かもしれません(笑)」

――これまでいちばん影響を受けた作品ってありますか?

「北川景子さん主演の『探偵の探偵』というドラマを観てどハマりしていました。北川さんのクールな演技やストーリーの面白さに魅了されました。同じ時期に、『リーガルハイ』にもハマっていて。堺雅人さんの相手を翻弄する演技や新垣結衣さん、岡田将生さんたちとのコミカルな掛け合い。僕はそれまでコメディ作品を観たことがなかったので衝撃でした。素晴らしい演技をされる北川さんや岡田さんたちと同じ事務所に入れたことが凄く嬉しく感じています」

――俳優としての今後の目標はありますか?

「僕、目標にしている俳優像がありまして……」

――どんな俳優です?

「俳優さんって、色んな番組やラジオに出演すると、他の出演者の方が遠慮するのか、あまり深く絡んでいない気がして……。周りがいじれないしツッコめないみたいな印象があると思うんですよ。僕はたくさんの経験をしていきたいので、色んな場で様々な方々と深く絡めるような俳優になりたいなと思います。最終的には番組MCにも興味を持っています」

――人懐っこいし研究熱心なので、目標に近づいていけるんじゃないでしょうか。

「ただ、瞬発的にワードを出すのが苦手で、『ラヴィット!』の麒麟・川島さんのような瞬発力とか身につけたいです」

――では大喜利からはじめていきましょうか……。

「それはちょっと……ハードル高いですね(笑)!」 

**

© 株式会社近代映画社