スペースX、スターシップの第3回飛行試験を早ければ3月14日に実施へ

アメリカの民間宇宙企業スペースXは2024年3月7日、同社が開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による第3回無人飛行試験を実施すると発表しました。規制当局の承認が得られ次第、早ければ米国の現地時間で2024年3月14日にも行われる見込みです。【最終更新:2024年3月7日11時台】

【▲ 第3回飛行試験に向けて行われた新型ロケット「Starship(スターシップ)」の打ち上げリハーサル時の様子。スペースXが米国の現地時間2024年3月4日に公開(Credit: SpaceX)】

Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長121メートルの再利用型ロケットで、打ち上げシステムとしても「Starship」の名称で呼ばれています。スペースXによれば、両段を再利用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能であり、2段目のStarship宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能だとされています。

Starshipは米国テキサス州ボカチカにあるスペースXの施設「Starbase(スターベース)」を拠点に開発が進められています。同社は2019年8月から2021年5月にかけてStarship宇宙船の大気圏内飛行試験をStarbaseで数回実施して帰還時の降下姿勢や着陸姿勢を実証した後、2023年4月20日と同年11月18日にはSuper Heavyも含めたStarship打ち上げシステムの無人飛行試験を行いました。

これまでに2回行われたStarship打ち上げシステムの飛行試験では、Super Heavyを分離したStarship宇宙船は高度100キロメートルを超えて宇宙空間に到達した後、発射90分後にハワイ沖の太平洋へ着水する計画でした。しかし、第1回飛行試験ではSuper Heavyの分離前にコントロールが失われたため、飛行中断システムが作動して約4分で飛行試験を終了。Super Heavyを分離する直前にStarship宇宙船のエンジンを点火する「ホットステージング(hot-staging)」を採用した第2回飛行試験ではSuper Heavyの分離に成功したものの、高度約150キロメートルで飛行中断システムが作動したStarship宇宙船は発射約8分後に飛行試験を終了しています。

【▲ 第2回飛行試験で上昇する新型ロケット「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】

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スペースXによると、間もなく行われる第3回飛行試験では過去の試験で得られた知見を基礎に、Super HeavyとStarship宇宙船双方の上昇飛行成功、Starship宇宙船のペイロードドア開閉、慣性飛行中の推進剤移送デモンストレーション(※)、Starship宇宙船に搭載されている「Raptor(ラプター)」エンジンの宇宙空間における初の再点火、そしてStarship宇宙船の制御された大気圏再突入といった目標に挑戦します。また、飛行経路は過去2回の試験から変更されており、発射約65分後にインド洋へ着水する予定です。

※…地球周回軌道を離れて月などへ飛行するStarship宇宙船は軌道上でタンカー役の機体から燃料と酸化剤の補給を受ける必要があり、第3回飛行試験ではそのための技術実証も目標に含まれています。

なお、スペースXは第3回飛行試験の様子を同社のウェブサイトとX(旧Twitter)の公式アカウントで発射約30分前からライブ配信する予定です。Xではライブ配信の開始が日本時間2024年3月14日20時30分と予告されていることから、打ち上げは早ければ日本時間2024年3月14日21時にも行われる模様です(承認のスケジュールや天候条件次第で変更される可能性があります)。

Source

  • SpaceX \- Starship's Third Flight Test
  • SpaceX (X, fka Twitter)

文/sorae編集部

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