13年ぶり郵便局再開の双葉町 課題は「生活環境」整備 福島

震災と原発事故の影響で休止していた福島県双葉町の郵便局が7日、再開しました。避難指示の解除から4年、町の生活環境に少しずつ変化が見られます。

「いらっしゃいませ」

午前9時。双葉郵便局に13年ぶりに元気な声が戻ってきました。JR双葉駅から200メートルほど離れた場所で再開した双葉郵便局。震災と原発事故の影響で営業の休止を余儀なくされましたが、避難指示の解除後、帰還した住民から再開を望む声があがっていました。

町民「みんなが早く早くできないかなと願っていたのでよかった。うれしい」 町民「誰でも分かる目印になる建物があるというのはすごくいいと思う。郵便局の前で待ってるねとか」

郵便局がなかった市町村は全国で双葉町だけでしたが、これで解消されました。

双葉郵便局・佐々木範雄局長「近くに金融機関がなかったと思うので、地域のお客様に近くにできたので、たくさんご利用いただけるように頑張りたい」

郵便局では、荷物の取り扱いのほか、ATMなどのサービスも通常通り行われます。

関根佑記者「郵便局やコンビニが再開して、住民の暮らす環境は少しづつ変化してきています。一方で町を見ると歩く人の姿というのはほとんど見られません。」

双葉町によりますと、町の居住人口は今月1日現在103人と震災前の1・5%ほどにとどまっています。町で暮らすために、住民からはさらなる生活環境の整備を求める声が聞かれました。

町民「住民が住んでいる駅の西側には自動販売機すらない。人が住んでいるところにもっとスピード感のあるサービスを提供してもらえたら」 町民「楽しめるところがほしい。カラオケとか、あとは銀行も。ただまだかな」

生活環境整備進むも教育機関は再開せず

双葉町は4年前の2020年3月、原発事故から9年ぶりに町の北東部の避難指示が解除され、さらに2年前の22年8月、駅周辺の復興拠点の避難指示が解除されました。これまでに解除されたのは面積にして町全体の15%ほどです。

震災前7000人ほどだった人口は、3月1日現在、80世帯103人と震災前の1.5%ほどにとどまっています。

課題はやはり生活環境の整備で、郵便局のほかに診療所やコンビニエンスストアなどは再開しています。さらに震災後、復興産業拠点が整備され、これまでに18の企業が町で操業しています。このうち13の企業は新たに町に進出した企業です。

ただ、教育機関、小中学校はまだ再開していません。町に住む小中学生は全員となりの浪江町の小中学校に通っていて、町では町内での再開に向けて議論を進めています。復興に向けたさまざまな力が注がれつつ、生活環境の整備が少しずつ進んでいます。

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