タレントの杉本彩さん、尼崎市の高校生らが意見交換 「保護犬の未来」考えるトークセッション開催

トークセッションに参加した杉本彩さん(右)、中村華恋さん(中央)、NPO法人「どうぶつ弁護団」の細川敦史弁護士(左)

兵庫県尼崎市の高校生が保護犬を取り巻く現状や自身の活動について発表し、動物愛護の活動でも知られるタレントの杉本彩さん=「動物環境・福祉協会Eva」理事長=らと意見を交換するトークセッション「高校生と考える保護犬の未来」がこのほど尼崎市立ユース交流センター(同市)で開かれた。

【写真】動物愛護を訴える杉本彩さん

発表したのは同市立琴ノ浦高校3年の中村華恋さん(18)。中村さんは、飼っていた犬を亡くしたことをきっかけに保護犬について知り、保護犬が想像を絶する過酷な環境にあることも知ったという。「動物をもののように扱ってほしくない」という思いから、犬の生きる権利を「わん権」と名付け、2023年7月、友人と2人で「わん権プロジェクト」を立ち上げた。同プロジェクトは14~29歳の若者が、さまざまな課題や解決策について市に提案する「尼崎市ユースカウンシル事業」の一環。

中村さんらは、自治体による保護犬の取り扱いを調査。地元の尼崎市動物愛護センターは、犬を飼いたい人へ譲渡を積極的に進めていて、殺処分ゼロである一方、東京のある地域では、民間の保護団体が引き取ることで犬の命を守っている現状などが分かったという。中村さんは昨年、ユースカウンシル事業の発表の場で、尼崎市長に直接、活動や自身の思いを伝えたり、ドッグサロンに行き、できることはないか聞いたりするほか、SNSでも発信を続けている。中村さんは「小さなことでもやれば力になれることを知った。今後はクラウドファンディングに挑戦して保護団体に寄付したり、若い世代向けのイベントを開きたい」と話した。

杉本さんは中村さんに「今の時代の手法や感性で、新しいものをどんどん取り入れてチャレンジしてほしい」とエール。会場からは「高齢者がペットを飼えなくなり残される動物がいる。そういった動物を助けたい」(同市の動物愛護団体)、「10年前から猫を保護していて、現在21匹飼っている。今後どうしたらいいかヒントがほしい」(70歳男性)、「保護はお金が掛かる。子どもでもできることがあるか」(小学生)などの声が上がった。

トークに先立ち、杉本さんが「命を大量生産する社会」と題して講演。劣悪な環境で飼育し、麻酔なしで帝王切開を行ったなどとして動物愛護法違反の罪に問われた長野県松本市のペット事業者に対し、懲役1年、罰金10万円という軽い求刑が出たケースについて話した。杉本さんは「繁殖業者が飼育できなくなった動物を引き取ってきた民間の愛護団体にも限界がある」と指摘し、「業者が要らなくなった犬猫を売りさばくために作った動物愛護団体や、愛護団体が結果的に繁殖業者の下請けになっている場合もある。皆さんの善意が悪用されてしまうことがあるので、施設の衛生面や保護犬の状態などを見極めてほしい」と注意を促した。

さらに「虐待はくり返される。動物愛護法違反で逮捕された者に対しては、飼育を禁止するべき」と訴え、「この世界が動物にとって優しい世界になるよう、頑張っていきましょう」と呼び掛けた。

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