復活を期す元全米女王ラドゥカヌ、今季の優先事項は結果よりも「自分のゲームの改善と成長に取り組みたい」<SMASH>

当時18歳で出場した2021年の全米オープンで四大大会初優勝を飾って以降、度重なるケガに苦しんでいる女子テニス元世界ランク10位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/21歳)。昨年4月から両手首と足首の負傷により長らくツアーを離れていたニューヒロインは、24年シーズンの開幕と同時に約9カ月ぶりの実戦を果たしたものの、ここまで出場7試合で3勝4敗と依然として苦戦が続いている。

長期離脱の影響で現在は世界250位に低迷しているラドゥカヌにとっては、できるだけ早く以前の強さを取り戻したいところだろう。しかし当の本人には焦りは全くない様子だ。ラドゥカヌはこのほど英公共放送『BBC』のインタビューで、今シーズンの最優先事項はツアーの結果ではなく、選手としての成長によりフォーカスしていくことだと語った。

「より良いテニス選手になれるよう努力したい。今年のトーナメントについてはあまり心配していないわ。世の中の多くの人々は試合(での結果)が必要だと言うだろうけど、私としては自分のゲームの改善と(プレーヤーとしての)成長に取り組みたいと思っている。そのために時間をかけるのはとても大切なこと。単に観客に応えるとか、たくさん試合をするとか、下部大会にレベルを下げるといったことではないの。スキルアップに努めていきたいと思う」
ラドゥカヌは現在開催中の女子テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(3月6日~17日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/WTA1000)の本戦ワイルドカード(主催者推薦)を取得。1回戦では世界96位のレベッカ・マサロワ(スペイン)と対戦する。

離脱前に参戦した昨年の同大会ではベスト16に進出。4回戦で現世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド)に敗れるも120ポイントを獲得し、今年はそれをディフェンドできなければラドゥカヌのランキングはさらに落ちてしまう可能性がある。それでもラドゥカヌはケガを乗り越えたことで自信も身に付いているのか、「私にとってはちょっとした旅のようなもの。8カ月も離脱していたんだから、本当に何が起こるかわからないわ」と意に介さない。

「12月から(復帰に向けて)精力的に練習してきたことでちょっと疲れが出ていた」としながらも、「すぐにリフレッシュして、春の北米シーズンのために練習してきてよかった」と、コンディションの良さをアピールした。

初戦敗退に終わった「カタール・オープン」(WTA1000)以来約1カ月ぶりの実戦に臨むラドゥカヌ。ぜひともインディアンウェルズの舞台で完全復活のきっかけをつかんでほしい。

文●中村光佑

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