父の死後、へそくりの「100万円」を発見! 家族の誰も気づいてないなら、自分がもらっても大丈夫? 罪になる場合もあるの?

ほかの家族には秘密で故人のへそくりをもらったら罪になる?

そもそも、故人のへそくりはどのような扱いになるのでしょうか。現金によるへそくりは債権ではなく動産という扱いになり、遺産分割の対象となります。基本としてへそくりをはじめとする金庫内の現金、タンス預金や個人の財布のなかにある現金などは、遺言などで相続方法が決まっていなければ、すべて相続人全員による遺産分割協議で分けなければなりません。

つまり、へそくりは分割の対象であり、自分が見つけたからといってほかの相続人に知られないよう、勝手にもらっていいものではありません。ほかの人が権利を主張したり、損害賠償を請求したりする事態を招くおそれがあります。

へそくりを見つけた場合の注意点

故人のへそくりを発見した際に注意したいのが、「へそくりも相続財産に含まれる」点です。

国税庁が発表している「相続税のあらまし」の「相続税が課される財産」の項目を見ると、相続税が課される財産には「(1)土地、(2)建物、(3)株式や公社債などの有価証券、(4)預貯金、(5)現金などのほか、金銭に見積もることができるすべての財産」が挙げられています。

そのため、意識的に貯めていたへそくりはもちろん、意識せずタンスなどに保管していた現金も相続財産となるのです。この現金は相続税の課税対象財産であり、相続財産として申告する必要があることにも留意しましょう。

へそくりが見つかったらどうすればいい?

故人の遺品整理などをしているなかで、もしもへそくりやタンス預金などの現金を見つけた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。もし自分1人で故人のへそくりを発見した場合、まずは速やかにほかの相続人に報告し、情報共有を行うよう心がけましょう。なぜなら、現金は預貯金などとは違い隠すことが容易であり、その存在や金額が客観的に把握しにくいためです。

発見から時間がたったあとに報告すると、ほかの相続人に着服などを疑われる可能性もゼロではありません。金銭トラブルを起こさないためにも、できる限り速やかにへそくりの存在を報告しましょう。

その際はへそくりの金額も含めて報告しておくことが大切です。可能であれば、へそくりの金額をほかの相続人と一緒に確認しておくと良いでしょう。その後、故人が遺(のこ)したへそくりは必要な手続きを踏んだうえ、相続人で分配を行います。ほかの家族の信頼を損ねないためにも、正しい手順で相続できるようにしましょう。

金銭トラブルを起こさないためにもきちんと報告しよう

亡くなった父親のへそくりを見つけると、子どもである自分が「そのままもらっても問題ないだろう」などと考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、故人の遺したへそくりは相続財産となります。勝手な判断で現金を隠すと、後々金銭トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。へそくりを見つけた場合はその存在を隠さず、速やかにほかの相続人に報告しましょう。

出典

国税庁 相続税のあらまし

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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